「逆方向のオーダーメイド」がECの新トレンドに

人民網日本語版 2021年01月21日15:53

バイク愛好者にとって、ハーレーダビッドソンは単なるバイクのブランドではなく、自由で、個性的な、独特の製造スタイルを示すものでもある。多様化するニーズに応えるため、ハーレーの工場は現在、ECプラットフォームで顧客のニーズを踏まえたオーダーメイド製造を受け付けている。1200個の部品を自由に組み合わせることができる上、製造ペースが加速した。これまで1台組み立てるのに21日間かかっていたのが、たった6時間で組み立てられるようになった。業界関係者によると、ここ数年、ECサイトはC2M(消費者と製造者が直結する製造スタイル)に力を入れており、「需要」を踏まえ、消費者から製造者へという通常と異なる逆方向のオーダーメイドスタイルが徐々に流行しているという。

ユーザーのニーズが工場に直接伝わる

最近、一部高齢者の中にスマート技術を使う時困難にぶつかっているというのが、社会問題になっている。京東は中興通訊(ZTE)と提携し、市場ニーズを踏まえて、高齢者向きの5Gスマートフォンを逆方向のオーダーメイドで製造し、スマホを使いこなせない高齢者にエンターテインメント、学習、移動などを網羅するワンストップ式スマート生活ソリューションを提供している。

中興通訊の王屹副総裁(ブレード製品製造ライン社長)は、「中興は汎用型5Gスマホを土台に、ソフトウェアとハードウェアの両面で高齢者に合わせてオーダーメイド設計を行い、高齢者がデジタルデバイドを解消する手伝いをしている。たとえば、ファミリーサポート機能を設置して、子どもが遠隔サポート機能を使用して高齢者のためにアプリケーションをダウンロードする、アドレス帳を作成する、緊急連絡先を設定するなどができるようにした。また京東健康プラットフォームと協力して、高齢者に救急医療機関受診、オンライン医薬品配達などのサービスも提供している」と述べた。

「中国製造業インダストリアルインターネットC2M・EC産業研究報告」によると、逆方向のオーダーメイドスタイルは消費サイドと製造サイドの距離を縮め、製造業が消費者の視点をもてるようにし、製品の設計・生産をよりよくコントロールできるようにすると同時に、個性化のニーズの駆動を受けて、工場の自動化能力と柔軟な対応力を向上させ、消費者が流通段階の無駄をカットした生産能力に直接つながることを可能にし、消費サイドに価値を還元するというものだ。

従来のアパレル産業を例にすると、従来型企業のスタイルはさまざまな段階と絡んでおり、商品が製造元によって製造され消費者の手元に商品として届くまで、取次業者とブランド企業を経由しなくてはならず、さらに倉庫、プレミアム、物流などさまざまな段階があった。オーダーメイドなら、ユーザーはオンラインで全プロセスを自分で決定することができ、布地、襟の形、袖の形、ポケット、パターンなどを自分で選び、さらに自分の身長・体重データを送ると、注文から7-10日で自分だけの服が送られてくる。服をオーダーメイドしたことがある人は、「中間の流通段階がないので、値段はかなり安く、高品質で低価格だ」と評価する。

ニーズを踏まえた供給のポテンシャルは大

個性を重視したオーダーメイドとコストパフォーマンスのよい商品に対する大勢の消費者のニーズに応えるため、ECプラットフォームは逆方向のオーダーメイドスタイルを相次いで展開している。消費者がECプラットフォームを通じて注文すると、メーカーは消費者それぞれの個性的な注文を受け取り、ニーズを踏まえてデザイン、調達、製造、出荷を行う。

エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)用ワイドスクリーンは逆方向のオーダーメイドのモデルとなる商品だ。ワイドスクリーンとは画面比率が約21:9になる液晶ディスプレーで、現在、ゲーマーたちが一番欲しい「神グッズ」だ。しかし価格が高すぎるため、気持ちとは裏腹に購入意欲はそれほど高くない。京東がチェーン全体を効率化してオーダーメイドのワイドスクリーン市場に参入すると、消費者に通常価格の50%に迫る低価格商品を届けられるようになっただけでなく、パネル工場、OEM(相手先ブランド製造)工場、ブランド企業など各者の粗利益率も20%向上した。

技術力のバックアップの下、京東の逆方向のオーダーメイドシステムによってシステムを利用した新製品の発売周期がこれまでより80%以上短縮された。京東集団の林■(王へんに深のつくり)副総裁は、「逆方向のオーダーメイドは未来のサプライチェーンの発展トレンドの1つとして、産業の製造のサプライチェーンおよび小売のサプライチェーンにいずれも非常に大きな、破壊的な変革をもたらすことになり、またこうした変革は不可逆の流れとなり、そして社会全体の運営効率を極めて大幅に高めることになるだろう。逆方向のオーダーメイド産業は今後4年間は高い複合年間成長率を維持し、2022年には1兆元(1元は約16.0円)規模に突入する見込みだ」と述べた。

業界関係者は、「新型コロナウイルス感染症のためECサイトを閲覧する時間が増え、オーダーメイドのニーズも増えた。これと同時に、感染症は企業のデジタル化モデル転換のプロセスを加速させた。デジタル化が深く進行すると、逆方向のオーダーメイドスタイルがますます強い生命力をみせるようになった」と指摘した。中国国際ECセンターのEC部門首席専門家の李鳴濤氏は、「正確に的を絞ったニーズが誘導するオーダーメイド化した供給、柔軟な供給の時代がすでにやって来ている」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2021年1月21日

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