中国宇宙ステーションのコアモジュール「天和」の打ち上げが29日、無事に成功した。中国の宇宙ステーションにまた1歩近づいた。中国の宇宙ステーションは設計上、軌道上を10年飛行できるが、これを15年に延長する能力を持っている。新華社が伝えた。
中国の宇宙ステーションは丈夫な体を持つが、どんなにたくましい体であってもちょっとした病気や損傷、不具合、けがは避けられない。
航天科技集団五院宇宙ステーションシステム全体チーフデザイナーの夏喬麗氏は、「『天和』の機体メイン構造の耐用期間を縮める要素には、主に疲労損傷、偶発的な損傷、腐食という3つがある」と述べた。
疲労損傷とはその名の通りで、軌道上で長期的に内圧、温度変化、大型部品の運動の作用と影響を受けることで、一部の応力が相対的に集中する部分や可動部品とつながる構造部分に疲労損傷が生じる可能性がある。偶発的な損傷は、宇宙ステーションが軌道上で運行された後、微小流星やスペースデブリなどによる偶発的な損傷で大きな亀裂が生じ、ハッチが開き船体が引き裂かれるといった壊滅的な事故を引き起こす可能性がある。一方で、腐食は主に、密閉された船内の環境の温度、湿度の変化などにより、船体のメイン構造が腐食するリスクがある。
損傷を最大限に減らすため、設計チームはさまざまな手段により宇宙ステーションをより頑丈でよりたくましくしている。航天科技集団五院宇宙ステーションコアモジュール構造サブシステム主任デザイナーの施麗銘氏は、「『天和』のメイン構造を設計する際に、耐腐食、耐疲労、耐断裂という3つの視点で総合分析と評価を行った。材料の選択、構造の設計、配置、パラメータ設定などを科学的に最適化した。また材料、部品、モジュールのシミュレーション検証を行い、耐用期間を保証した」と説明した。
また構造研究製造チームは耐用期間の問題に対して、健康モニタリングサブシステムを新たに設計した。この追加されたサブシステムは健康診断を行う医師と同様、軌道上で負荷がかかるペイロード及び自身の構造の状態をリアルタイムでモニタリングできる。またスペースデブリなどの飛来物のモニタリング、特定を行い、警報を出すこともできる。スペースデブリの接近を発見すると、速やかに警報を出し、いち早く地上と宇宙飛行士に知らせることができる。このサブシステムはさらに船内の圧力状況をモニタリングし、異なる圧力指標に基づきレベル別で警報を出すこともできる。
スペースデブリなどの「天敵」からの攻撃に対応するため、「天和」の熱制御サブシステムは耐用期間と信頼性を確保する問題に対して、これまでの基礎を踏まえた上でより頑丈な設計を施し、宇宙ステーションに「大動脈」に相当する2本のパイプ、ヒートパイプラジエーターを取り付けた。これにより、流体パイプの外部にさらされる面積を減らし、スペースデブリに貫通されるリスクを大幅に減らした。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年4月30日