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【中国キーワード】デジタル化が後押し、大手テック企業が参入…スマートシティ建設は次段階へ 

丸わかり!中国キーワード

人民網日本語版 2021年05月20日11:10

次世代情報技術が支え、知識社会に向けた次世代イノベーション環境下での都市形態として、スマートシティが今、インダストリー4.0の担い手になりつつあり、「世界レベル」のスマートシティ競争がすでに始まっている。中国のスマートシティ建設はコンセプトの普及、政策による後押し、テスト事業・モデル運営の段階を経た後、一連の政策に支えられて、これから新たな段階に進もうとしている。

デジタル化手段が新型スマートシティ建設をサポート

最近発表された中国の第14次五カ年計画(2021-2025年)と2035年までの長期目標綱要は、デジタル化によって都市部・農村部の発展とガバナンスモデルのイノベーションを後押しし、運営効率と環境の快適さを全面的に向上させることを明確に打ち出した。レベル別・種類別に新型スマートシティ建設を推進し、モノのインターネット(IoT)のセンシング施設、通信システムなどを公共インフラの統一的計画・建設に組み込み、公共事業用の施設や建築などIoTの応用とスマート化改良を推進する。都市情報モデルプラットフォームと運営管理サービスプラットフォームを整備し、都市のデータ資源システムを構築し、都市のデータブレーン建設を推進するという。

貴陽方舟科技股フン有限公司(フンはにんべんに分)の羅綱挙社長は、「これまでのスマートシティ建設の運営状況を見ると、スマートシティは都市管理や社会のガバナンスレベルを向上させ、経済の質の高い発展を導き、人々によりよく幸福をもたらす上で、明らかに成果がある。しかし政府機関の中には、自分たちのニーズだけを考えて建設を進め、他の機関のニーズを考えていないというところもある。その主な原因として、1つは標準が統一されていないためにデータの互換性がないこと、もう1つは建設が重複していることが挙げられる。デジタル化手段をどのように利用し、資源の統合と共有を進め、各地の状況に応じて都市のガバナンス機能を向上させるかが、スマートシティ建設の重要な中身になる」と述べた。

スマートシティの市場は巨大な商機を内包

クラウドコンピューティング、IoT、人工知能(AI)が相次いで新技術の注目点になるのに伴い、都市のスマート化が自然な流れになることは間違いない。また大都市病、社会的危機、環境的脅威といった都市のガバナンスの問題点も、スマートシティによるソリューションの提供を至急必要としている。

テック企業にとって、スマートシティの市場が内包する非常に大きなチャンスにも魅力がある。

新型スマートシティ建設が国家戦略に格上げされると、各地でスマートシティ建設が絶えずペースを加速させるようになった。データを見ると、中国にはすでにスマートシティの建設を打ち出した、またはすでにスマートシティを建設中の都市が500ヶ所以上あり、世界で最も多い。中国のスマートシティ市場規模はここ数年は年平均30%以上の成長率を維持している。

工業・情報化部(省)が中心になって発表した2020年の「デジタルツイン白書」では、2023年までに、中国の新型スマートシティの市場規模は1兆3千億元(1元は約17円)に達すると指摘している。

有名市場調査会社の米フロスト&サリバンの予測では、スマートシティ技術の支出予算額は19年の960億ドル(1ドルは約109.3円)から25年は3270億ドルに増加する見込みだ。一方、30年には世界のスマートシティ関連支出の70%以上を米国、西欧、中国が担うという。

テック企業がスマートシティに次々力を入れる

今や中国のスマートシティ建設は政府機関だけのプロジェクトではなくなり、さまざまな社会の力とさまざまな先進技術を融合させたスーパー産業チェーンを形成している。大学院、大学、大手ソリューション企業、大手コンサルティング企業を中心としたスマートシティのグランドデザイン設計者だけでなく、具体的なスマートシティ建設・運営の分野においても、華為(ファーウェイ)、BAT(百度<バイドゥ>、阿里巴巴<アリババ>、騰訊<テンセント>)、京東などの「テクノロジー大手」や、中国電信や浪潮などの国有資本系プロバイダーを集結させた。こうしたトップ企業がスマートシティ市場に相次いで参入したことから、中国のスマートシティ建設の起点の高さがうかがえるだけでなく、これが非常に大きなけん引の役割を果たすであろうこともうかがえる。これほど大きな市場規模は、産業チェーンの各部分のトップ企業の急速な参入を促し、とりわけ都市レベルのコンピューティング、プラットフォーム、インフラ、センシング・通信、グランドデザインなど各分野で、ファーウェイ、テンセント、アリババ、京東などの大手の存在感が増している。

巨大スクリーンにタッチすると、全体の情勢図と16種類の個別テーマ図が現れ、都市の64機関、10県・市・区のガバナンス状況を知ることができる……これは大量のデータをベースにした京東「スマートシティ操作システム」における江蘇省南通市向けソリューションの一部で、同市の高効率で秩序ある運営に「飛躍の翼」を与えたことは間違いない。

京東科技集団が南通市政府に提供したこのスマートシティソリューションパッケージが先ごろ発表され、テクノロジー大手がサポートするスマートシティの最新の進展状況をかいま見ることができた。

5月13日には、ファーウェイと山東省青島市西海岸新区管理委員会、山東旅投汎魯ネットワーク科技有限公司が「ファーウェイ(青島)デジタルシティ共同イノベーションセンター協力合意」に共同調印した。今後、3者は同センターを共同運営し、地域の情報化レベルを引き上げるという。

これに先立ち、阿里雲(アリババクラウド)も4月19日、河南省鄭州市のプロジェクト「シティブレーン」の最新の進展状況を発表した。昨年9月から現在までの間に、「シティブレーン」により同市市街地の1077平方キロメートルのエリアに対し交通管理網のスキャニングが行なわれ、車両475万7千台、電動自転車400万台以上のデータもアップロードされた。車両通行量と渋滞レベルによって、市内の交差点4282ヶ所を3段階にレベル分けしたという。

差別化進むスマートシティのルート

数年にわたるスマートシティ市場の争奪戦の中で、大手企業は差別化されたスマートシティ戦略のルートを少しずつ構築してきた。たとえばテンセントのWeCity、ファーウェイのスマート都市体、前出の京東のスマートシティ操作システムやアリババのスマートブレーンなどがある。

京東科技集団デジタルシティ部門の鄭宇総裁は、「現在、中国国内のスマートシティ及び関連の細分化された分野に参入する企業は主に3種類に分類される。情報化システムインテグレーション企業、クラウドサービスプロバイダー企業、各種の特定シーンにおける技術サービス企業だ」と述べた。

19年から現在までに、京東のスマート都市業務は北京、上海、天津、雄安、南通、大同など数十ヶ所の都市と地域でさまざまな形態によって行なわれてきたという。

アリババクラウドでは、まず消費者サイド(C端)に焦点を当て、人々の感知力がより高く、効率向上をデジタルによって最も測りやすい交通ガバナンスの分野から着手した。一方、政府サイド(G端)の効率向上については、傘下のスマートテレワークサービス「釘釘(Ding Talk)」のほうで主に取り組むというのがアリババクラウドの方針だ。

ファーウェイにとっては、スマートシティはクラウド戦略を実施する重要な媒体だ。昨年、「シティスマート体」の概念を打ち出し、「目、脳、手、脈」がそろい、全エリアが協同し、立体的に感知する、ディープラーニングの能力を備えたスマートシステムを構築することで、データを利用して業務のイノベーションを駆動し、「全シーン対応スマート」などの方法を通じて、国内の各大都市との協力を展開した。

このほかのテック企業もスマートシティへの取り組みを進めている。その多くはある特定業務のソリューションという「点」からスタートして、そこに各社独自の業務を加える形で展開している。

業界では、「スマートシティ市場に切り込むポイントはそれぞれに異なるが、『すべての道はローマに通ず』で、参入者の目的は非常に明確だ。それは人口ボーナスとフローによるメリットが徐々に消滅する現状の中、スマートシティという兆元レベルの大きな市場のパイを少しでも獲得するために努力するということだ」とされている。(人民網日本語版論説員)

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「人民網日本語版」2021年5月20日

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