初夏を迎えつつある中国では、公園や広場を訪れる人もますます増えている。そしてこれらの場所で「絶対的センター」として活躍しているのが、「大爺大媽(おじちゃんとおばちゃん)」だ。彼らは中国で今、一番元気ハツラツな人々だと言っても過言ではないだろう。彼らの社交場である公園や広場では、朝には朝の、昼には昼の、そして夜には夜の様々な「活動」が展開されており、なかなか興味深い。今回はそんな中国の大爺大媽たちの社交活動の数々を紹介していこう。人民網が伝えた。
大爺大媽の朝、それは一日の始まり
朝もやの立ち込める中、公園や広場には早くも大爺大媽たちが集まり始めている。ゆったりとしたカンフー服に身を包み、これまたゆったりとした動作で太極拳などを楽しむ人。北京の天壇公園の朝と言えば、コレ!と言われているほど、朝からバリバリ器械運動をこなす人。たまに朝もやを切り裂くように聞こえてくるのはスポーツウィップというムチを使い、音を鳴らすクラッキングを楽しむ人。こうした朝のトレーニングに参加するのは、孫の送迎をしなくてもよくなった大爺大媽たちの場合が多い。なぜなら中国では幼稚園から小学校くらいまで孫の送り迎えが必要な場合がほとんどで、それもまた共働きの多い中国において、大爺大媽の大事な任務の一つだからだ。
大爺大媽の昼、それは情報交換の場
日中の時間帯に公園や広場に顔を出す大爺大媽たちは、孫を学校などに送ってから来る人から、介護ヘルパーに車椅子を押されながら来る人、朝のトレーニング後、朝食を食べて、もう一度やって来る人など様々。天気のいい日には、日向ぼっこしながらお散歩やおしゃべりを楽しむ人が多い。そこで語られるのはありとあらゆる健康法(ただし、科学的根拠は怪しい)、子供や孫の自慢に嫁やお手伝いさんの愚痴(中国では住み込みのお手伝いを雇っている場合も結構多い)などなど。この辺は日本の井戸端会議と変わらない。
カルチャー派の大爺大媽たちは木陰などで声を張りあげ合唱を楽しみ、二胡などの楽器の演奏、専用の巨大筆を使って水で地面に書道の練習をする人も。アクティブ派はバドミントンや卓球、ジェンズ(毽子)蹴りなどこちらもバラエティに富んでいる。
大爺大媽の夜、それは自己表現の場
夕闇の訪れとともに、公園や広場には再び大爺大媽たちが集まってくる。夜の広場は大爺大媽たちが最も輝く舞台。嗩吶(チャルメラ)や 太鼓を打ち鳴らしながら、カラフルを通り越したような華やかな衣装に身を包んで踊る大媽たち。なかにはお化粧までバッチリ施している大媽もおり、ほの暗い広場に真っ白に浮かび上がる顔に、別の意味でドキッとさせられる。同じダンスでも優雅なのは社交ダンスを踊る大爺大媽たち。女性同士で踊る人、決めポーズもばっちりなペアなどもいて、見ていて楽しい。
そして近年忘れてならないのが何といっても広場ダンス。ディスコ風やエアロビクスダンス風などグループによってそのジャンルや踊り方は異なるが、ガンガンの大音量で十数人、下手すると数十人が一斉に踊る様子は壮観そのもの。ジャンルによっては若い人も結構混じっているが、ここでもやはり眩しいばかりの笑顔で踊っているのは大爺大媽たちだ。
さらに、音の大きさで負けていないのが、屋外カラオケ。結構な大きさのポータブルスピーカーとマイクを準備し、心ゆくまで歌う。が、今までこういう屋外カラオケでうまい歌を聞いたためしがない。こんなに下手なのによく歌うなぁと感じたことばかりだが、歌う本人たちはいたって楽しそうだ。
このように、中国の大爺大媽たちはとにかくパワフルだ。果たして自分があの年齢に達した時に、あれほど元気でいられるのかと自信が無くなるほどパワフルだ。騒がしいし、はた迷惑でもあるのだが、ガイガイワヤワヤ楽しい大爺大媽たちを目にすると、思わずクスッとなれるので、毎日見ると疲れてしまうが、たまにはそんな大爺大媽たちを観察に行くのもいいかもしれない。(文・イラスト・玄番登史江、袁蒙)。
イラストで知ろう!イマドキ中国
人民網ではもっと身近なスタイルで今どきの中国を読者の皆さんに知ってもらうため、「つるにはまるまるむし爺さん」と「へのへのもへ郎」、「へめへめくつ美」の3人が流行語やカルチャー、時事問題など幅広いジャンルにおける「イマドキ」を紹介。中国ってこんな国なんだ!と興味を抱き、理解を深めるきっかけにしてみてください。
「人民網日本語版」2021年5月31日