頭頂部に青銅の尊(水や酒を入れておく壺のような器)をいただき、両腕は指をそろえ前に突き出し、敬けんな表情を見せる……これは3ヶ月に及ぶ発掘作業を経て、このほど四川省の三星堆遺跡の3号祭祀坑から出土した重要な新発見「青銅頂尊人像」のことだ。5月28日夜、国務院新聞弁公室、国家文物(文化財)局、四川省人民政府は同省広漢市にある三星堆博物館で、テーマイベント「三星堆に行って 中華文明を理解しよう」を共同開催し、文化財の最新状況を説明した。これを受けて、人民網は中国社会科学院歴史学部の学部長であり、中国考古学会の理事長を務める王巍氏に取材を申し込み、解説をお願いした。人民網が伝えた。
王氏は新発見の文化財について次のように述べた。「これは最高レベルの信仰に関係した器物だと思われる。そこに含まれる具体的な信仰の意味は今後の解明が待たれるが、この頭頂部のものは貴重なものに違いない。またこの文化財は非常に大きく、当時の信仰体系の中で非常に重要なもの、核心的なものだったはずだ。もしかしたら三星堆で出土した文化財の中で、今、目にすることのできる最も重要なものかもしれない」。
王氏は、「青銅頂尊人像が頭にいただいているのは、商王朝系の青銅製の祭礼用具であり、このことは古代の蜀の国と商王朝との関係を研究する上で非常に重要だと言える。中原王朝がこれほど広範囲に影響力をもつことができた理由を考えると、より重要なのはこうした礼制度を作り出し、周辺の多くの地域的文明や属国に受け入れられたという点にある。これが中原王朝が中心になり得た重要な原因であるかもしれない」と述べた。
青銅頂尊人像は高さ1.15メートルで、非常に珍しい造型をしている。人と尊が一体になった大型の青銅製芸術品で、中国でも世界でもこのような文化財が出土したのは初めてのケースだ。青銅製の尊は中国の商の時代には重要な祭祀用具であり、酒を貯蔵したり盛ったりする重要な器物でもあり、中華文化では「尊崇」、「尊重」、「尊貴」などの意味を示すものとされる。青銅頂尊人像は三星堆独特の人の造型と尊の造型を組み合わせたもので、三星堆と中原の商王朝との密接な関係を明らかにし、敬けんで神聖な祭祀の情景を描き出し、三星堆独自の信仰の世界を今に伝え、商の時代の青銅器芸術の粋であると言える。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年5月29日