【はじめに】中国共産党創立100周年祝賀大会で、習近平総書記は、党と人民を代表して、「全党、全国の各民族の人民の持続的な奮闘を経て、中華の大地で小康社会(ややゆとりのある社会)を全面的に完成させるという1つ目の100年の目標を達成し、絶対的貧困の問題は歴史的な解決をみた。今は、社会主義現代化強国を全面的に完成させるという2つ目の100年の奮闘目標達成に向けて、意気揚々と邁進している」と厳かに宣言した。
小康社会の完成度は、農村を見れば分かるものだ。農業が発展しているか、農村が美しいか、農民が豊かな生活を送っているかなどは、小康社会の全面的な完成の質と社会主義現代化の質を左右する要素となる。
人民網日本語版では、「農村を訪ねて『小康』を感じよう」をテーマにしたシリーズ記事を掲載し、中国の広大な農村で生じている生産や生活における大きな変化、そして人々がしっかりと実感している獲得感と幸福感、安心感を紹介していく。また新時代における美しい農村ののどかな風景や小康社会を全面的に完成させた農村の物語を描き出していく。
陝西省楡林市岔河子郷は、毛烏素(ムウス)砂漠の奥地にあり、近代的な農業テクノロジーを駆使して、数千ヘクタールの砂地を肥沃な畑地に変えてきた。上空から見ると、砂地の表面を植物や農作物が覆っている。その中に、大きな円形の深緑の畑地が規則正しく並んでいる場所がある。なぜ、円形、または半円形の畑が並んでいるのだろうと興味がわく人も多いかもしれないが、その理由は、栽培方法と関係がある。
そこは、元々砂漠化した不毛の土地に、外部から黄土を運んできて、今のように植物や農産物が青々と茂るようになった場所だ。畑が円形になっているのは、スプリンクラーシステムと密接な関係がある。大きな円形の畑の真ん中に貯水池の水源があり、スプリンクラーシステムは水源を中心ポイントとしている。スプリンクラーは時計の針のように回転して水を散布する。そのため、畑も円形となっているのだ。黄土で覆われていることに加えて、自動スプリンクラーシステムを導入していることで、節水にもつながっている。水が十分届かない場所の下には、穴の空いたパイプが設置されている。こうしたスプリンクラーシステムにより、最大限節水できる。
砂漠の中にある円形の畑のほとんどで、ジャガイモやウマゴヤシ、トウモロコシが栽培されている。その3種類の作物を栽培している農家の年収は、1ムー(約6.67アール)当たり1000—3000元(1元は約16.95円)。その3種類を順番に栽培し、ウマゴヤシは、収穫が終わると、その根を砂地に残している。そうすることで地盤を固め、砂が舞い上がるのを最大限防ぐのにつながるからだ。現在、その3種類の栽培は完全に機械化されており、それにより規模が拡大し、下流産業の発展にもつながっている。例えば、ウマゴヤシやトウモロコシなどの飼料産業の下流に属する肉用牛やメンヨウの優良品種・湖羊の養殖業界は、現地ですでに大きな規模となっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年8月2日