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ファーストフード大手のマクドナルドは最近、11月から米国内の一部店舗で植物を材料にした「植物肉」のハンバーガー「マックプラント」を試験的に販売することを明らかにした。植物肉がファーストフード界に進出する中での新たな試みだ。「経済日報」が伝えた。
植物肉がここ数年、人気の競争分野になり、資本が相次いで流れ込み、企業は展開を強化している。ビヨンド・ミートやインポッシブル・フーズなどの「老舗」だけでなく、カーギルやネスレなどの世界的に有名な食品メーカーも相次いで植物肉市場に進出した。シンクタンクのまとめた統計によると、中国国内では2019年7月から21年8月までの間に、植物からできた食品のブランドのスタートアップ企業が累計48回の資金調達を達成し、調達総額は12億元(1元は約17.8円)に上った。世界規模で見ると、食品・飲食大手の40%が社内で植物肉チームを発足させている。
しかし資本がマーケティングに熱を入れて奔走するのを、消費者は冷めた目で見ている。レストランやネットの人気店では、植物肉メニューの注文率は低い。植物肉はつまるところ新たなトレンドなのか、それとも流れに乗せられて「高い授業料」を払うだけに終わるのか。
この問題をはっきりさせるには、まず植物肉とはどんなものかを知る必要がある。植物肉は主に大豆、エンドウ豆、小麦などの穀物の植物性タンパク質を原料に使用し、一連の「本物らしくする」加工工程を経て作られ、肉のような口当たりと味のある、人工肉の一種だ。研究によれば、植物肉は本物の肉より脂肪分が70%少なく、カロリーは65%低く、しかもコレステロールはゼロだ。こうしたことから、「三高(高血圧、高脂血症、高血糖)」の人などに対し、植物肉は確かにある程度の優位性を備えている。
しかし現在、植物肉が世界の肉類消費に占める割合は低い。資本はマーケティングに熱を入れて奔走するが、「評価は高いものの売上はさっぱり」だ。その主な原因は、おいしくないことと値段が高いことの2点だ。
現在の技術レベルでは、植物肉は歯ごたえや口当たり、味などが本物の肉にはほど遠く、このことが魅力を大きく引き下げる。また植物肉は値段が高く、消費者の多くは購入をためらう。現在の市場で、植物肉の販売価格は普通の肉の2倍以上だ。スターバックスを例にすると、植物肉のサンドイッチは59元するのに対し、普通の牛肉のサンドイッチは39元しかない。植物肉は現在の市場ではまだニッチな存在で、人々の食卓に並ぶようになるのはかなり先のこととみられる。
だが長期的にみれば、肉類製品のニーズが増加し、グリーンで健康的な生活のコンセプトが普及するにつれて、植物肉には大きな発展の可能性がある。ただ、そうなるためには、植物肉業界は長い技術高度化の道を歩み、味や口当たりを絶えず向上させ、製造コストを大幅に引き下げるとともに、消費者の認識を絶えず刷新しなければならない。植物肉の製造技術と製品が圧倒的な優位性を備えるようになった時、消費者はごく自然に消費習慣を改め、植物肉を買いたいと思うようになるだろう。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年10月25日