お金を払ってレッスンを受ければ知識への不安を解消できる?

人民網日本語版 2021年10月28日11:14

最近、知識コンテンツに料金を支払うという概念を受け入れる人がますます増えている。

2020年末現在、中国国内の有料知識コンテンツユーザーは4億1800万人に上り、市場規模は392億元(1元は約17.8円)に達した。21年は4億7700万人を突破し、産業全体の規模は675億元に達することが予想される。

有料知識コンテンツ産業の発展の道のりを振り返る時、多くの人が2016年を「有料知識コンテンツ元年」と見なしている。特に新型コロナウイルス感染症が流行して、「おうち経済」が急速に発展すると、人々は以前にも増して知識コンテンツに料金を支払おうとする意欲を強く示すようになり、知識関連製品を購入したことのある中国のユーザーも63.1%に達した。

これと同時に、有料のカリキュラムは品質にばらつきがある、知識が断片化している、広告宣伝で不安につけ込む商法があるなどで非難されることも多く、有料型知識コンテンツは「一気に押し寄せる」段階、「先を争う」段階から、徐々に「冷静になる」段階へと推移している。

音声配信プラットフォームの喜馬拉雅(シマラヤ)の目論見書によると、今年上半期の赤字額は68億6600万元に上り、赤字幅は前年同期比約380%拡大し、さらに短期間での黒字転換の保障は難しいという。同じように、聞くスタイルの「耳経済」の茘枝も2018年から2020年まで赤字が続いている。

こうした情勢の中、研究者もプラットフォーム運営者も、知識は一体「消費財」として存在しうるのか、どんな学習方法がユーザーに最も便利で、続けやすいと同時に、不安を抱かせないか、などを考えるようになった。

知識型アプリケーションの得到の趙熙オフィスゼネラルマネージャーは、「学習とはひとっ飛びで達成できるものではなく、順序を追って進む必要がある。適切な目標と計画を制定すれば、より深い学び、より長期的な学びにとってプラスになる。得到もどうすればより価値のある学習コンテンツを提供できるかを思考中だ。現在は大学との協力展開を積極的に進め、一部のオンラインカリキュラムは大学の補助教材となり、評価システムに組み込まれている」と説明した。

知識への不安を解消するには?

華南師範大学心理学院の攸佳寧教授は、「知識への不安は常にあるもので、今は多くのメディアが状況を利用して不安を拡大させている。知識への不安は当たり前の現象だ」と述べた。

攸氏の分析によると、学習の過程で不安が生じるかどうかは、学習に先立って明確な目的を持つかどうかを見る必要がある。一部の人は人が何かを学ぶのを見て自分も学ぼうと思い、自分自身のニーズを十分に理解していない。不安を抱え、時間が足りないと考える人も多い。しかし不安は悪いことばかりではない。ある程度の不安は原動力にもなり得るという。

攸氏は、「知識への軽度の不安なら心理学的介入は必要ない。自分の位置づけがはっきり定まっていないときは、一部の不安の源から自分を切り離し、自分の邪魔になるものを遠ざければいい。深刻な不安症状があれば、『系統的脱感作法』を用い、まず自分の体をリラックスさせることを学び、体がリラックスできたら、脳もリラックスさせる。よく用いられるのはリラックス呼吸法、筋弛緩法、そして自律訓練法、つまり脳内で自分を最もよくリラックスさせるさまざまなシーンを想像する方法だ」と述べた。

中国社会科学院新聞・伝播研究所インターネットニューメディア研究室の孟威室長(教授)によると、急激な環境の変化や社会のモデル転換に直面して、人々に費孝通氏(社会・人類・民族学者)がかつて述べた一種の「差し迫った心理的状態の秩序の危機」が生じる可能性がある。ネット環境の中の知識への不安は、人々が予測の難しく対応の難しい大量の情報を処理していることと関係がある。1つのことが終わっても、不安感が完全には消えることはなく、自信のない自分、否定的な自分というマイナスイメージが残ることもある——こうなると知識の「時代遅れ」という思いがつきまとい、楽しさや満足感を常に得にくい状態になる。

うしおのように押し寄せる情報に対して、どれが本物の知識か、本当に価値のある知識はどれかを判断することがとりわけ重要だ。孟氏は、「私たちはこれまでの経験を絶えず動員して、主観的能動性を発揮し、理性的認知と科学的方法を通じて慎重に分析を進め、発見、判断、理解する能力を新たな高みに押し上げ、自分をより思慮深く、より強くする必要がある」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2021年10月28日

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