しばらく前までは、ゴールドを身につけるのが成熟、野暮ったさ、成金、社会的ステイタスの象徴だった。今や、ますます多くの若者が「キラキラ輝くゴールド」を身にまとっている。「まだ若くて黄金の輝きを知らない」はずの若者が、この確かな価値のある金を好むようになったのは一体いつのことか。
ゴールドが若者の買い物かごに
年に一度のネットショッピングイベント「ダブル11」(11月11日)がやって来た。どうやってよりお得に買い物をするか計算する人もいれば、買い物を通して「もうける」にはどうすればよいか思いを巡らす人もいる。
「95後(1995年から1999年生まれ)」の王斐さん(仮名)は「金購入者」の1人だ。今年の「ダブル11」イベントでは様々な工夫をして、平均1グラム299.15元(1元は約17.8円)の価格で自分の好みに合った純金のゴールドペンダントを2本購入した。
彼女の話では、「合わせて900元ほどの節約になった。ゴールドジュエリー割引き券+plus会員向け補助券+ブランド店舗利用券+公式の一定額を買うと割引きするサービス+少額の『紅包(ラッキーマネー)』をいくつかプレゼントしてもらう作戦だった」という。
実際、「金購入ブームは」買い物かごから広がっていった。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)がこのほど発表した報告書によれば、世界の金インゴットと金貨のニーズは5四半期連続で前年同期比増加し、金アクセサリーのニーズも同33%増加し、ニーズは主に中国、インド、中東地域から来ているという。
中国黄金協会によると、今年第1-3四半期(1-9月)の全国の実質ベース金消費量は同48.44%増の813.59トンとなり、新型コロナウイルス感染症発生前の2019年同期に比べて5.89%増加した。消費促進政策や七夕、中秋節(旧暦8月15日、今年は9月21日)の消費などの要因に牽引されて、ゴールドアクセサリーの消費が猛烈な勢いで回復している。
もう野暮ったくなく、魅力的なゴールド
王斐さんは金を買う理由について、「金を買うのは素晴らしいこと!加工料金を払って実店舗でアクセサリーにすることもできるし、金相場が値上がりしたら売ってもうけることもできるし、こつこつ集めて工芸品にしたり、飾っておいたりすることもできる。キラキラして見ていてうれしくなる」と話した。
多くの若者が金を好むようになったのはなぜか。5年前は王さんのように言う人はいなかった。
WGCが2016年に発表した報告書「中国ゴールドアクセサリー消費トレンドインサイト」によると、中国の女性の大半はゴールドアクセサリーの購入意欲が世界平均よりも高いが、18-24歳の年代に限って言えば関心が低く、購入意欲は16%にとどまり、うち50%以上が「自分のスタイルに合わない」と答えていた。
しかし今では、結婚する時に金を買い、厄年に金を買って厄払いをし、給料が出たら金を買ってご褒美にし、特別な日にも記念に金を買う。こうして多くの若者にとって、金は自分を喜ばせる手段になった。
WGC中華圏の王立新最高経営責任者(CEO)は、「ゴールドアクセサリーの需要が感染症前の水準を回復したのは、主に金価格の低さと新しいタイプの商品がたくさん登場したためだ」と話した。
ゴールド製品ブランド店で販売員をする佳佳さん(仮名)によると、「ここ数年の印象を一言で表せば『非常に好調』ということだ。うちでは若いお客様が確かにますます増えており、接客中に一番よく聞くのは『前はゴールドは母さんやばあさんのお気に入りだったけれど、今は自分も大好き』という話だ」という。
佳佳さんは若者が金を購入する原因について、「まず大手ブランドのイノベーションとマーケティングの結果だろう。ほぼ毎日、若い女性が(ショッピング交流プラットフォームの)小紅書の画像を持って『同じのはないか』と店にやって来る。ブロガーでゴールドアクセサリーの『盛り方』をいろいろ生み出す人もいて、毎日普段の仕事以外にアクセサリーを『盛る』技術を勉強するなど新しい任務も加わった」と話した。なお金の工芸品はどんなに精巧で美しくても、引き取り時はグラムで計算するので、現金に換える際は高い購入価格の割に販売価格は安いという事態を免れられない。
もちろん、金で資産運用しようと本気で考える若者はそれぞれ自分のやり方がある。王斐さんは、「数万元するインゴットは買えないので、毎月1グラムの『ゴールドビーン』を1-2粒買うことにしている」という。
王斐さんの話によると、「ゴールドビーンは加工料金がかからないし、1粒は300元から400元ほどの価値だが、たまると相当の達成感があり、お金を貯めなければいけないという気にもなる。周りには銀行のスマートフォンアプリで直接金を買う人もいて、特別感は希薄だが、たくさん貯めて営業スポットに行ってインゴットに交換することができる。アプリは売るのもとても便利だ」という。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年11月5日