中国の動画共有サイト「bilibili(ビリビリ)」で最近、十日草輔原作のウェブ漫画をテレビアニメ化した「王様ランキング」第3話の配信が始まり、爆発的な人気となっている。コミュニティサイト・豆瓣のレビューは9.6ポイント、ビリビリのレビューは9.9ポイントに達している。WIT STUDIOのスタジオ設立10周年の記念作品として製作されているテレビアニメ版「王様ランキング」は、全体的にはかわいくコミカルな画風であるものの、新しい回が配信されるたびに、ネットユーザーをすすり泣きさせている。では、人々の心をそれほどまでに動かすことのできる「王様ランキング」とは、一体どんなアニメなのだろうか?人民網が各社の報道を引用して報じた。
「王様ランキング」は漫画投稿サービス「マンガハック」で連載が始まり、クリック回数は5000万回を超え、「2020漫画ニュース大賞」で5位に入賞した。迫力ある戦闘シーン、真に迫ったキャラクターの表情、日本らしい見る人を励まし、心を癒す内容などが人々の心を鷲掴みにし、ダークホースのごとく人気沸騰となっている。
「王様ランキング」の舞台は中世ヨーロッパ風の世界で、各国にそれぞれ王様がおり、その王様をランキングするという非常にシンプルな設定となっている。ランキングは国の豊かさや抱えている勇者の数などのほか、一番重要なポイントとして王様自身がいかに勇者のごとく強いかによって決まる。
王様ランキング7位のボッス王国初代国王・ボッスは、人智を超えた剛力を誇る巨人族の戦士だ。しかし主人公でボッス王国の第一王子・ボッジは、生まれつき体が小さいことに加え、耳も聞こえず言葉も話せない上、非力で短剣すら持ち上げられないため、周囲からは常に軽侮されている。
ボッジの剣術指南役・ドーマスは、ボッジの非力さには諦めをつけており放任状態となっている一方、第二王子ダイダの才能に惚れ込む。ボッスの後妻でダイダの母であるヒリングは、口が悪く、「ボッジは王になる資格がない」というのが口癖だ。非力なボッジは国民にも馬鹿にされてしまう。
このように普通のアニメで描かれる天の申し子のような王子のイメージとは異なり、ボッジが直面するのは情け容赦ない厳しい世界だ。しかし、そんな厳しい世界とは対照的に、ボッジは周囲からの声に心を痛めながらも、人前では涙を見せない優しく強い心の持ち主だ。
例えば、コソ泥のカゲに出会ったボッジは、なんとカゲの言いなりになって素直に服を脱いで差し出し、それからは来る日も来る日も服を与えた。こうして2日目も3日目も、ボッジは高そうな服を着ては、同じ場所に行き、満面の笑みを浮かべながらそれを脱いでカゲに与え、裸で帰っていった。なぜならカゲは孤独なボッジに初めてまともに話しかけてくれた相手だったからだ。
ボッジは耳が聞こえないため、周りの人からはあからさまに馬鹿にされているが、ボッジはいつも何も知らず、何も気にしていない様子で、笑顔で人に接する。しかし、ある日、カゲがこっそり、ボッジが城に帰るまで尾行すると、実はボッジは人の唇の動きを見ることで話している内容を読み取ることができ、人々から馬鹿にされ、罵られている時もなんと言っているのかは理解していたことを知る。人前では涙をこらえ、にこにこ微笑みながら、自室に戻るとこっそり涙を流していたのだ。そのシーンで思わず涙を流したネットユーザーも少なくない。
第3話では、ヒリングの好感度が急上昇する。ヒリングは普段はきつい性格で、「死刑にするわよ」が口癖であるなどヒステリックな言動も多いが、実際は心優しい女性で、治癒の魔法を得意としている。カゲを探す旅に出かけたいとボッジが言った時、ヒリングはあまりに危険で心配であると感じて認めない。ところが、ボッジは逃げ出そうとした時に城の高い所から落ちて怪我をしてしまう。すると、ヒリングは魔法を使ってその傷を治すのだった。
ボッジの世界では、絶対的な善人も、絶対的な悪人もいない。「王様ランキング」は、大人でも読むことのできる童話のようで、ボッス王国のボッジが直面していることや、勇気や友情、善良などを描く全てのシーンが、大人の人々が現実の生活で負った傷を「癒して」くれている。
第4話以降で、ボッジは初めてボッス王国を離れ、未知の旅へと足を踏み出す。今後のストーリーの展開について、ネットユーザーの間ではさまざまな予想が飛び交っている。旅の途中でボッジはどんなことに直面するのだろう?ボッジは願い通り王様になれるのだろうか?「王様ランキング」から目が離せない。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年11月10日