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「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が世代を超えて爆発的ヒットしているワケは?

人民網日本語版 2021年08月11日08:14

日本のアニメーション映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の配信がこのほど、動画配信サイト・Netflixで始まり、世界中のファンが歓喜している。社会現象すら巻き起こした同作品は昨年10月に封切られて以降、日本での興行収入がうなぎ登りとなって403億円以上に達し、宮崎駿監督の名作「千と千尋の神隠し」を抜いて、日本歴代興行収入第1位を達成した。世界での興行収入は現時点で、5億ドル(1ドルは約109.8円)を超えている。中国青年報が報じた。

「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて2016年から2020年まで連載された「鬼滅の刃」は、大正時代を舞台に、主人公が鬼と化した妹を人間に戻す方法を探すために戦う姿を描く和風剣戟奇譚。ある日、主人公・竈門炭治郎の家族が鬼に惨殺され、唯一生き残った妹・竈門禰豆子も鬼と化してしまう。禰豆子を人間に戻す薬を探し、鬼に危害を加えられないようにするために、炭治郎は命を懸けて「鬼殺隊」に入隊し、鬼と戦う長い旅が始まる。「無限列車編」では、原作コミックスの第7巻および第8巻に収録されている無限列車での戦いが描かれ、短期間のうちに40人以上が行方不明になったという無限列車に乗り込んだ鬼殺隊員の竈門炭治郎・我妻善逸・嘴平伊之助と、炭治郎の妹・禰豆子は、その列車の中で炎柱・煉獄杏寿郎と合流し、鬼に立ち向かう。

「週刊少年ジャンプ」で連載が始まったばかりの頃、「鬼滅の刃」の評判はそれほど高くなかったものの、少しずつ人気が高まるようになった。そして、2019年にテレビアニメ化された「竈門炭治郎 立志編」の放送が始まって、人気の「第一波」が訪れた。放送が始まると好評を博し、単行本が凄まじい勢いで売上を伸ばし、同年、オリコン年間コミックランキングで1位となった。その後、新型コロナウイルスの影響でステイホームする時間が長くなる人が増え、単行本の売上も増加の一途をたどった。2020年12月の時点で、単行本の発行部数は1億2000万冊を超え、売上ランキングを「鬼滅の刃」の各巻が総なめする現象まで起きた。

こうしたお膳立てが整ったところで、満を持して「『鬼滅の刃』竈門炭治郎 立志編」の続編「無限列車編」が公開された。新型コロナウイルス感染拡大期間中のため、新作の公開がほとんどなかったことも追い風となり、公開日に「鬼滅の刃」ファンが映画館に殺到。初日の興行収入が10億円を超えた。そして、衣料品や家電、玩具などの市場もすぐにコラボ商品を打ち出し、売り切れ続出の大人気となった。産業チェーンの各分野の相乗効果により、「無限列車編」の興行収入は雪だるま式に増えていった。

一定の年齢の枠を超えて社会現象すら巻き起こし、他の作品より抜きんでた「無限列車編」には、やはり他にはない優れた点がある。一般的な熱血系戦闘アニメと異なり、「無限列車編」は人の愛や欲望、恐怖などを描くことに多くを割いており、そこに多くの人が共感を覚えている。

魘夢の血鬼術「夢」にかかった炭治郎は、夢の中で家族と再会を果たす。「家族愛」というのは最も人の心を揺さぶるものだ。しかし、幸福な夢であっても、それは結局のところ幻であり、夢の中にいたいという思いを抑えて現実の世界に戻るには、非常に強い意志と苦痛に耐える勇気が必要だ。観客は「夢の中」の世界にすぐに引き込まれていき、炭治郎が家族と再会した時の喜びを感じると同時に、現実の世界へと戻った時の切なさに涙を流す。

「老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ。老いるからこそ、死ぬからこそ、たまらなく愛おしく尊いのだ」。「鬼がどれだけ命を奪おうとも、人の想いだけは誰にも断ち切ることができない」。「無限列車編」は、人間が取るに足らない存在であることを認めながらも、固い信念を貫くことができれば勝利の光が見えることを教えてくれる。新型コロナウイルス感染拡大が続く今、こうしたテーマは不安な気持ちを抱いている人たちにやさしく語りかけ、力を与え、癒してくれる。(編集KN)

「人民網日本語版」2021年8月11日

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