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パンダより絶滅の危険が高いアモイトラが中原に「定住」?

人民網日本語版 2021年11月12日09:55

河南省洛陽市の王城公園は今年、「おめでた続き」となっており、アモイトラの赤ちゃんが9頭も生まれた。アモイトラ63頭は現在、同公園の「アイドル」となっており、虎山の上では成獣のトラが圧倒的なオーラを放ち、「幼稚園」では赤ちゃんトラがかわいさを振りまいている。中国新聞網が報じた。

アモイトラの赤ちゃん3頭を抱っこするスタッフ(資料写真・洛陽王城公園が提供)。

中原エリアでアモイトラの繁殖・飼育にチャレンジ

アモイトラは、中国固有の亜種のトラで「中国虎」とも呼ばれ、世界絶滅の危険が極めて高い動物10種類に入っており、かつては黄河流域の南から、珠江流域の北の広い地域に生息していたものの、現在は野生のアモイトラはすでにいないと見られている。

統計によると、2020年11月末の時点で、世界のアモイトラの個体数はわずか221頭で、その絶滅の危険の高さは、ジャイアントパンダよりはるかに高い。

そのため関係者の間では、アモイトラの人口繁殖・飼育技術の面でブレイクスルーを実現できるかは、その個体群を救う上で重要な意義を帯びていると考えられている。

日向ぼっこするアモイトラの赤ちゃん(資料写真・洛陽王城公園が提供)。

アモイトラの繁殖・飼育を中原エリアに位置する河南省で成功させることはできるのだろうか?15年の模索と実践を経て、その答えはすでに出ていると言えるだろう。王城動物園の劉兆陽副園長は、「1985年に広東省の広州動物園から王城公園にオスとメスのアモイトラが連れてこられたが、出産することはずっとなかった。そして、中国の長江より北の地域でアモイトラの人工繁殖・飼育に成功したケースもなかった。そのため、人工飼育されているアモイトラは、中国の北方エリアでは出産できないのではないかと懸念する声も上がっていた」と振り返る。

かわいいアモイトラの赤ちゃん(資料写真・洛陽王城公園が提供)。

2005年に同公園に来た劉副園長は、アモイトラの人工繁殖・飼育の面でなんとかブレイクスルーを実現したいと考え、2006年にその繁殖・飼育を重点難関攻略プロジェクトに指定し、取り組みを始めた。

圧倒的なオーラを放つアモイトラ(資料写真・洛陽王城公園が提供)。

成功!アモイトラの赤ちゃん3頭の出産に成功

参考にできる成功例もなかったため、劉副園長は最初、成功できるか自信がなかったものの、同僚と共にチャレンジした。

圧倒的なオーラを放つアモイトラ(資料写真・洛陽王城公園が提供)。

「飼育小屋の環境を改善したり、エサの構造を調整したりするところから始めた。アモイトラの洛陽での生活のあらゆる面を調整、改善した。例えば、公園に虎山を作り、自然に近い生活環境を作り、アモイトラが自由に活動できる範囲を広げ、日光に当たる時間も長くした。エサの分野では、冷凍肉から生肉に変え、ウシの心臓や肝臓なども混ぜて、アモイトラが微量元素を十分に摂取できるようにした」と劉副園長。

外的要因となる環境を整えた次は、非常に数の少ないアモイトラのオスとメスをどのようにペアリングするかが、繁殖のためにクリアすべき難関となった。

劉副園長によると、「今まで会ったことのない成獣のアモイトラを一緒にすると、けんかになる可能性があり、ペアリングを成功させるのは難しい。そのため、オスとメスを子供の頃から一緒に生活させて、仲良くさせれば、成獣になって発情期に入った時にペアリングしやすいのではと考えた」といい、こうした不断の努力がついに実り、2009年に、メスの「妞妞」が妊娠。無事3頭の赤ちゃんを出産した。

かわいいアモイトラの赤ちゃん(資料写真・洛陽王城公園が提供)。

2009年、王城公園では合わせて4頭のアモイトラの赤ちゃんが生まれ、長江より北の地域での初の人工繁殖・飼育成功例となった。そして、洛陽市は中国でアモイトラの人工繁殖・飼育に成功した最北地点となった。

アモイトラの赤ちゃんを抱っこするスタッフ(資料写真・洛陽王城公園が提供)。

河南省におけるアモイトラ繁殖・飼育拠点建設に期待

最初に来たアモイトラは2頭だったものの、今ではその数が63頭になっており、15年にわたる取り組みを経て、アモイトラは古都・洛陽市でその個体数を増やしている。特に2017年以来、同公園では毎年、アモイトラの赤ちゃんが10頭以上誕生しており、公園の飼育数は7年連続で全国トップとなっている。こうして洛陽王城公園は今、中国で最も多いアモイトラが生活する場所になった。

じゃれ合うアモイトラの赤ちゃん(資料写真・洛陽王城公園が提供)。

2018年に開催された中国動物園協会の年次総会で、王城公園のアモイトラ個体群繁殖・飼育プロジェクトは、「個体群発展のベストモデルケース」に選ばれた。

ただ、都市にある動物園で63頭ものアモイトラを飼育するというのは、その管理の面で新たなハードルをもたらしている。

同公園の邢建飛副主任によると、現在王城公園において最大の問題となっているのはスペースに限りがあることで、「アモイトラの繁殖・飼育拠点建設を積極的に模索している。もっと大きなスペースを用意して、アモイトラやその他の動物が長期にわたってもっと快適に、安定して暮らすことができる場所を作りたい」と話す。

かわいいアモイトラの赤ちゃん(資料写真・洛陽王城公園が提供)。

邢副主任は、「地球の生物圏は生命共同体で、どんな種でも絶滅すれば、生命共同体のバランスが崩れる。食物連鎖の頂点にいるトラが絶滅すれば、食物連鎖を通じて連鎖反応が起き、生態系全体にとって脅威となる。その点から考えても、アモイトラの保護は人類の生存と密接に関係しており、重要な意義がある」との見方を示した。(編集KN)

「人民網日本語版」2021年11月12日

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