青海省にある三江源国家公園(三江源国立自然保護区)が国家公園に正式に指名されてから、たかだか1ヶ月ほど経っただけにもかかわらず、その名声はすでに幅広く知られている。総敷地面積は19万700平方キロで、河北省よりも大きい。そしてその標高は平均4700メートル以上で、力強い生命力が光り輝く舞台となっている。
ここでは、密林や草原、雪原、湿地、山、川、湖など、バラエティに富んだ景色を楽しむことができるほか、ユキヒョウやオオカミ、カワウソ、チルー、チベットノロバ、クチジロジカといった野生動物がたくさん生息している。そのため、多くの写真愛好家にとってはまさにパラダイスのような場所であり、季節を問わず、カメラを手にやって来ては、数ヶ月から何年もかけて野生動物との「縁」や「出会い」を静かに待っている。
最近、ある写真愛好家が、オオカミを驚かせないようにしながら、その群れが映る圧巻のシーンの撮影に成功した。
こうした写真愛好家にとって、家から出て角を曲がると野生動物と遭遇することも少なくない自然保護区の中に住む人たちは、羨ましい存在だ。
野生動物と「共存」する住民の一人である阿扎さんは、首の模様を見るだけで、十数年の「付き合い」となるユキヒョウ2頭を見分けることができるという。
阿扎さんにとってそのユキヒョウは「家族」のような存在で、飼っているヤクが襲われることもあるものの、恨み言を行ったことは一度もない。ここ十数年の間に、ヤク20頭以上が食べられたり、嚙み殺されたりしたという。
ヒツジの群れを襲い、牧畜民に追い払われるどころか「記念写真」を撮影されたユキヒョウ(撮影・図松)。
牧畜民は野生動物の弱い一面を目にすることもよくあり、「家族」が困難に直面していれば、すぐに救いの手を差し伸べている。
牧畜民の卓列才仁さんは最近、山の崖に落ちたユキヒョウを救い出したという。才仁さん自身、決して豊かな暮らしをしているわけではないものの、毎日、一番新鮮なウシやヒツジの肉をユキヒョウに与え、ケガで動けないユキヒョウに肉を小さく切って、少しずつ与えているという。
牧畜民たちがこのように野生動物に接するのは、大自然に対する畏敬の念が「DNA」に刻まれているからで、生まれつき大自然を保護しなければならないという意識を持ち、それが代々受け継がれ、大自然と平和に共生するというのが、彼らの生涯の信念となっている。
それだけでなく、「家族」をより万全に守るために、生態環境管理保護員に自ら名乗り出る人も少なくない。