「供銷社」(供銷合作社の略で、購買販売組合)が最近、話題を集めている。人々が議論するだけでなく、資本市場でも「供銷社」の概念が存在感を増し続けている。複数の地域ですでに普通の人々の視界から消えてしまった「供銷社」が、なぜ今、突然注目を集めるようになったのだろうか。中国新聞網が伝えた。
「供銷社」を管轄する国の機関である中華全国供銷合作総社の公式サイトの説明によると、合作社は中国で100年近い歴史のある組織だという。
中国社会科学院農村発展研究所の李国祥研究員は、「改革開放以降、農村の商品流通を担うマーケットエンティティが日増しに多様化している。『供銷社』は計画経済の時代には商品流通の主要ルートだったが、開放的な市場競争の時代になると、その発展は課題に直面することになり、規模が徐々に縮小していった」と振り返った。
しかし「供銷社」のシステムは実はずっと存在しており、歴史の舞台から完全に姿を消すことはなかった。
2021年に「供銷社」システム全体で農産物の売上高は前年比24.3%増の2兆7591億元(1元は約20.3円)に達し、日用品の売上高は同17.1%増の1兆4925億元に達して、農産物を販売し日用品を購買するという双方向の流れがさらにスムーズになった。
それでは、ここ数年間に複数の地域で基層の「供銷社」が復活し、再建されているのはなぜだろうか。
李氏は、「中国共産党第18回全国代表大会が開催されてから、国は『供銷合作社』の改革と発展を非常に重視するようになった。中央政府はたびたび指示を出して『供銷合作社』に果たすべき役割を果たすよう求めた。しかし複数の地域で『供銷社』の発展にはばらつきがあり、『供銷社』がずっとその役割を果たしている地域もあるが、基層の『供銷社』がすっかり縮小してしまったという地域も少なくない」と述べた。
2015年に「中共中央・国務院の供銷合作社の総合的改革の深化に関する決定」が発表された。協力の強化、農家の参加、農業へのサービス提供との要求を踏まえて、各地の状況に合わせて基層「供銷社」の改良を推進し、規範化された、農家のメンバーが主体となった「合作社」を徐々に構築し、農家の実質的な恩恵獲得と基層供銷社の発展のウィンウィンを実現すると提起された。
その後、政府は「供銷合作社」の総合的改革の深化にたびたび言及するようになった。「2021年中央1号文書」ではさらに、生産、供給販売、信用が「三位一体」となった総合的協力テストを展開し、農家の生産・生活にサービスを提供する総合的プラットフォームを整備することが提起された。
中国人民大学農業・農村発展学院の孔祥智教授は、「ここ数年間の複数の地域における基層の『供銷合作社』の復活や再建は、政策の要求に呼応する動きにほかならない」との見方を示した。
「供銷合作社」が独占状態をもたらすのではないかという一部の懸念に対して、孔氏は、「『供銷社』の再建も運営も、すべて市場経済という大きな枠組みの中で行なわれている。『独占状態を招く』という可能性はない。なぜなら『供銷社』は完全に市場化されているからだ」と分析した。
また孔氏は、「多くの地域で基層の『供銷合作社』が復活・再建しているのは、主として農家に生産・生活サービスをより手厚く提供するためだ」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年11月4日