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アジア太平洋は「スパゲティ・ボウル現象」を防止すべき (2)

 これと同時に、アジア太平洋は様々な貿易協定が併存する状況が形成され、各協定間に排他性も存在する。勝手に振る舞ったり、派閥を組む一部の国のやり方も、域内諸国に不和反目をもたらしている。地政学的状況、戦略面の利害衝突、新協力体制などの要素をうまく処理しなければ、分力が形成され、アジア太平洋地域の合力にとって試練となる。国がある以上国益があり、国家間には各々求めるもの、補い合うものがあり、衝突も避けがたい。これにはルールが必要であり、ルールがなければ何事もうまくいかない。こうしたルールは決して国益を排斥するものではなく、各国の共通利益に立脚して、一国の腹算用が各国の共通利益に影響を与えないようにするものだ。つまり合力が分力より大きくなる必要があり、これには分力に合力を形成させることが最良であり、少なくとも分力が合力に過度の打撃を与えないようにしなければならない。さもなくば経済・貿易分野の「スパゲティ・ボウル」現象と政治・安全保障分野の「スパゲティ・ボウル」現象が重なり合って悪循環が形成され、最終的にアジア太平洋の政治・経済は散り散りばらばらで、切っても切れないが、整理してもなお乱れている状態となる。

 経済のアジア太平洋をうまく切り盛りすることは、政治のアジア太平洋をうまく切り盛りするための重要な基礎だ。同様に、政治のアジア太平洋をうまく切り盛りすれば、経済のアジア太平洋にとって助力となる。アジア太平洋の経済は明るさを保ち、アジア太平洋の政治は調和を実現する必要があり、これにはアジア太平洋が合力を形成すること、つまり各種の分力を解消することが求められている。

 アジア太平洋の合力を大きくするため、今回のAPEC首脳会議では「ボゴール目標の堅持」「コネクティビティの強化」「持続可能な成長の促進」という3大議題について議論が行われた。

 アジア太平洋地域はすでに利益共同体、運命共同体を形成しており、1国が繁栄すれば共に繁栄し、1国が損害を被れば共に損害を被る。各国は対立ではなく協力を堅持し、ゼロサムではなくウィンウィンを追求すべきだ。地域の繁栄、安定、安全に関わる重大な問題において、各国の1つ1つの言動は破壊性ではなく建設性を備えるものであるべきだ。戦略面の相互疑念を深めるのではなく、相互信頼を深めるものであるべきだ。互いに足もとをすくうのではなく、互いに力添えをするものであるべきだ。アジア太平洋が明るい将来性をいつまでも維持するには、各メンバーが集まって合力を形成する必要がある。

【用語解説】「スパゲティ・ボウル現象」

 「スパゲティ・ボウル現象」(Spaghetti bowl phenomenon)という言葉はバグワティ(Bhagwati)が1995年出版の『米国の貿易政策』(U.S.Trade Policy)で初めて使用した。2国間自由貿易協定(FTA)や地域貿易協定(RTA)の下、各協定で異なる優遇措置や原産地規則がボウルの中のスパゲティのように交錯し、切っても切れず、整理してもなお乱れている状況を指す。例えば各FTA、RTAで原産地規則条項が増えるほど事態は複雑化する。北米自由貿易協定の自動車原産地規則がその典型だ。(編集NA)

 「人民網日本語版」2013年10月9日

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