メタンハイドレートは溺れる者のつかむ藁ではない (3)
要するに制御核融合を基礎とする原子力の利用こそが世界のエネルギー戦略の重点的な攻略方向なのだ。米国の「シェールガス革命」も、日本の「メタンハイドレート」エネルギーも、現下の世界経済の低迷を緩和するその場しのぎの措置に過ぎない。
現在の世界構造では、米ドルが覇権通貨として資源バブルを煽ることで、世界経済の命脈を支配している。これは客観的事実だ。日本経済は米ドルに追随しており、最近は大幅な円安によって「通貨の増水」をもたらしているが、これは米ドルの数回の量的緩和に注釈をつけるだけであり、独立性など全くない。エネルギー戦略においても同様で、原子力における彼らのふらつきを見れば、彼らに定見がなく、長期的視点はなおさらにないことがわかる。
中国は日本とは違う。いくつかの個別の技術分野で日本との間に落差があるが、中国経済は整った大規模な工業システムと独立自主の研究プラットフォームを備え、市場の潜在力も巨大で、整った、独自の産業チェーンを形成する可能性がある。したがって、エネルギー戦略において中国は長期的構想を持たねばならない。
中国の南中国海海域のメタンハイドレート資源埋蔵量は石油650億トン(中国の現在の年間石油消費量は5億トン超)に相当し、130年間は十分に使えると推定される。このほか青海省の永久凍土帯でもメタンハイドレートが見つかっており、これは中低緯度の凍土地帯で見つかった初のメタンハイドレートだ。世界第3位の凍土大国である中国の陸地のメタンハイドレート埋蔵量はおよそ石油350億トンに相当し、中国は90年間近く使用することができる。
こうしたデータは制御核融合という「究極のエネルギー」の実現までの間、中国はエネルギー戦略において「卵を別々の籠に入れておく」必要があることを物語っている。中国はエネルギーの足りない後発工業大国であり、たとえシェールガスやメタンハイドレートがその場しのぎの措置であっても、なおざりにしてはならず、研究から採掘まで、追いつくべきは追いつかなければならない。
現在の最も根本的な難題は、世界の大口商品貿易とエネルギー貿易において中国に価格決定権がないことだ。資源において他国に首を絞められず、より大きな発言権を得るには、自分で立っていることができなければならない。
中国の技術の蓄積と科学研究の実力をもってすれば、「複数の足で道を歩む」のに十分な力があるはずだ。原子力という主たる攻略の方向をしっかりと固定して、難関攻略に力を入れ、リードを目指すと同時に、各種の「新エネルギー」分野で世界の技術の潮流を追い、しっかりとついていく。
歴史上、安価な資源のみに頼って利益を得て、繁栄した国が真の強国となることはできず、繁栄も長続きしなかったことをわれわれはしっかりと覚えておかなければならない。こうした国々は自国の資源をすぐに使い込みすぎて、衰退へと向かったのだ。
強大な、さらには代替不能な科学技術革新力と製造能力を持つ国のみが、技術のたゆまぬ高度化を通じて、また新エネルギーを持続的に開発し、新たな経済成長方式を切り開く国のみが、世界の先頭を歩むことができるのだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年3月19日