日本ホテル産業 食の偽装が常態化? (2)
第二に、ホテルのレストランの生産過程や流通過程は、スーパーの生鮮食品よりもさらに複雑だ。阪急阪神の「誤表示」が発覚した当初、同グループの上層部は従業員の認識・知識不足が原因だと主張したが、多くの有名店が偽装問題で揺れる情況をながめると、「誤表示」の裏にはホテルレストラン産業に広くみられる管理の甘さという問題がある。ある業界関係者の話によると、ホテルのレストランはシェフ、メニュー開発担当者、原材料発注担当者などさまざまな人員で成り立っており、全員が完全な意思の疎通をはかることは難しい。問題が起きても誰も何もせず、困った事態に陥ることもある。高島屋の問題のあった9軒のホテルでは、いずれもテナント経営や業務のアウトソーシングを行っており、百貨店側がすべての責任を負うことは難しい。
また顧客の理性的でない消費心理も「誤表示」を助長する。経済コラムニストの小笠原誠治さんは、日本人は高級品が好きで、安いものも好きだが、安くて高級なものなどないと話す。
「誤表示」事件がホテルの評判と経営・業績に大きな影響を与えており、関連部門の責任者が引責辞任したケースもある。阪急阪神と高島屋は被害を受けた消費者に返金することを明らかにした。東京の吉祥寺在住の増田さんによると、高島屋はこれまで日本の高級ブランドの象徴であり、そのブランドは安心を保証するものだった。だが今では高島屋ですら問題が発覚し、日本の外食産業に対する消費者の信頼が揺らぎ始めているという。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年11月8日