【第121回】【最高人民法院の労働紛争案件審理の法律適用の若干問題に関する解釈(四)】における競業制限について (2)
分析:
司法実務において、競業制限義務と労働契約の解除方法の関連性の存在可否に関する争議に関して、雇用単位が違法に一方的に労働契約を解除する場合、労働者は依然競業制限義務を履行する必要があるのか。この問題について、雇用単位の違法行為について法律で相応の制裁を与えることができるが、双方の約定の法律効力には影響しない、という見方もあれば、雇用単位が誠実信用の原則に違反しているのに、労働者に競業制限義務を課すのは公平ではないという見方もある。
「解釈(四)」の規定では、前者の見方が採用されており、別途規定がある場合を除いて、競業制限義務と労働契約の解除方法は関係がなく、雇用単位は労働者に競業制限義務を要求する権利があり、同時に労働者もまた競業制限義務を履行した後、雇用単位に経済補償の支払いを要求できるとしている。
第八条
当事者が労働契約または秘密保持契約において競業制限および経済補償について約定し、労働契約の解除または終了後に、雇用単位の原因により3ヵ月経済補償が支払われず、労働者が競業制限の約定の解除を申請する場合、人民法院はこれを支持する。
分析:
司法実務において、雇用単位が約定に基づき競業制限経済補償金を支払わない場合、労働者は依然競業制限義務を履行すべきかどうかについては異なる意見が存在する。労働者は仲裁訴訟の手続きを通じて雇用単位に経済補償の支払いを求めることができるが、労働者はこれを理由に競業制限の約定を解除できないという意見がある一方で、先に雇用単位が違約しており、労働者は競業制限義務を継続する必要はないという意見もある。
「解釈(四)」の規定では、条件付で後者の意見が採用されている。つまり、雇用単位側の原因により3ヵ月経済補償が支払われない場合、労働者は競業制限の約定の解除を求めることができる。この規定は、雇用単位の商業秘密保護の必要性と労働者の就職権利をあわせて配慮したものである。
第九条
競業制限期間内に、雇用単位が競業制限協議の解除を請求するとき、人民法院はこれを支持する。
競業制限協議の解除時に、労働者は競業制限経済補償の三か月分を別途支払うよう雇用単位に求める場合、人民法院はこれを支持する。