モルディブ、中国人客差別を否定
「モルディブ共和国のリゾートホテルでの中国人への差別」に関する投稿が、中国のネットユーザーの間で話題になっている。環球時報が報じた。
モルディブのニュースサイトの10日の報道によると、現地の5つ星リゾートホテルの元中国人従業員が、「中国人客がレストランを利用せず、持ち込んだカップラーメンばかり客室で食べていることから、ホテル側は、中国人客が宿泊する全ての客室から湯沸かしポットを回収した」という内容をネット上に投稿した。この中国人従業員は、ホテルの内情を告発したことでホテル側から解雇され、言動を監視された上、携帯電話を没収されたため、仕方なく中国大使館に助けを求めたという。この告発に対し、ホテル側は、「中国人に対する差別」を全面的に否定した。モルディブのAhmed Adeeb Abdul Ghafoor観光相は、「政府は、中国側から正式な抗議を受けたわけではないが、このような事件には厳しい態度で対処する。中国はモルディブにとって最大の顧客源国であり、モルディブの観光業は、中国人に対していかなる差別・偏見も持ち合わせていない」と語った。
報道によると、この投稿は、中国の各大手サイトで約10万回数転送された。投稿者は、モルディブ北部イルフシビーチにあるリゾートホテルでVIPサービスマネージャーとして働いていた趙建科さん。趙さんの投稿は、多くの中国人ネットユーザーの怒りを買い、モルディブ旅行の中止が呼びかけられた。趙氏によると、宿泊代金は同じであるにも関わらず、中国人観光客の待遇は、欧米人観光客より悪かったという。このリゾートホテルでは、宿泊客の90%が中国人だが、経営者は、中国語を話すホテルスタッフと中国人客が親しく話をすることを快く思っていなかった。総支配人は、中国人客を「CN」と呼んでいたが、この「CN」は「カップヌードル」の意味だと公言していた。
リゾートホテル側は、今回の件に絡み、今年2月、個人的事情により中国人従業員5人が退職した事実を認めた。マーケティング部のCruz部長は、「中国人客が客室で煮炊きをしたため湯沸かしポットが壊れ、それらを回収したことは確かであるが、これは館内規定にもとづく正当な処置だった。もっとも、コーヒーメーカーは全客室に設置されており、ゲストは全員、お湯のサービスを受けることができる」と語った。同部長は、宿泊客に対する差別に関するクレームは一切受けておらず、中国人ゲストからは、おおむね良い評価を得ているとした上で、「中国市場は、我々にとって極めて重要であり、私たちは今後も、従来と変わりなく、中国人ゲストを大歓迎する」と続けた。
モルディブのニュースサイトによると、中国は今のところ、モルディブにとって最大の顧客源国であり、2012年に同国を訪れた外国人観光客全体の4分の1を占めた。数量的には非常に多いが、多くのリゾートでは、中国人客は、飲食代など宿泊代金以外にホテルで使う金額が少ないことから、1人当たり消費額で見るとかなり「低消費」の客層だと見なされている。このため、多くのリゾートでは、オフシーズンにおける客室稼働率を高める目的で、この時期に中国人観光客を盛んに誘致している。2012年初めに反政府デモの激化で大統領が辞任に追い込まれるという政変が起こり、現地観光業は大きなダメージを受けた。同年の観光業成長率はわずか0.7%と、2010年(15.8%)・2011年(9.1%)から大幅に落ち込んだ。モルディブ観光がオフシーズンに入り、中国人観光客がモルディブ旅行をボイコットするような事態になれば、現地観光業は苦境に追い込まれることになる。某現地メディアは、「中国人は日に日に豊かになり、世界各地のより遠いところに旅行に出かけるようになった。しかし、いくつかの感心できない悪しき習慣は、現地の人々の非難の的となっており、中国政府も、海外での秩序やマナーの大切さについて、観光客に繰り返し注意を呼びかけている」と伝えた。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年3月12日