内蒙古(内モンゴル)自治区赤峰市西部にある小廟子村は、人口2700人だが、その耕地面積はわずか358ヘクタールしかない。人口が多い割に土地が少なく、土地資源に限りがある一方で、農業生産スタイルも立ち遅れていることから、同村はこれまで深刻な貧困問題に悩まされてきた。しかし、数年前にニンジンや中医学の薬用植物の栽培を始めたことをきっかけに、村は独自の発展の道を歩み始めた。人民日報が伝えた。
キキョウ(桔梗)を中心とする中医学の薬用植物の栽培は、小廟子村の伝統的産業だ。資源を集中させる目的で、村に合作社(農協に相当)を立ち上げた。合作社は使用権が流動していた農地を一括して集め、農民に対して農作物の種と技術指導、市場情報を統一して提供し、農産物の統一販売を実施した。昨年、村には、農業用冷却棚10ヘクタールとビニールハウスの点滴灌漑施設180ヘクタールが新設され、現在までに全村の薬用植物栽培面積は147ヘクタールを上回るまでとなり、栽培品種はキキョウ、ツリガネソウ、トウジン、ボウフウなど20種類以上、村民約600人の雇用を実現した。
村民の張淑玲さんは、「キキョウをそのまま販売した場合、安値でしか売れないが、皮をむくと500グラムあたり0.8元(1元は約16.7円)で売れる。薬用植物の収穫期になると、1ヶ月で7~8千元を稼ぐことができる」と話す。
特色ある農業は村のターゲットをしぼった貧困脱却に一役買っている。以前、村で認定登録された貧困家庭は、51世帯104人に上っていたが、ここ2年で36世帯70人が貧困から脱却し、今年にも村民全員が脱却できるとみられている。
小廟子村は、昨年1年間で、総距離4.5キロメートルにわたる村を循環する村道を新たに敷設し、郷村幹線道路には街灯を設置し、学校のグランドにタータントラックを敷設したほか、浸水漏水を防ぐごみ埋め立て処分場さらには民俗館や郷村観光案内センターも建設した。
小廟子村は、中国における特色を生かしたターゲットをしぼった貧困脱却を実現した縮図といえる。過去5年間で、中国では約6千万人が貧困脱却を果たした。これは、3秒ごとに1人が貧困から脱却している計算となる。2018年、中国では農村貧困人口1386万人が貧困から脱却し、農村の貧困発生率は1.7%にまで低下した。各貧困地区の具体的な状況を合わせ、「ターゲットをしぼった点滴灌漑」式貧困脱却行動を展開することで、中国の農村貧困人口は、計画通り、2020年までに全員が貧困から脱却できるとみられている。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年3月5日