全国政協委員、中核集団科技・情報化部主任の銭天林氏は10日、メディアの取材に対して、「当社は清華大学と共同で60万kW高温ガス冷却炉プロジェクトの実施作業を開始した。また標準の設計と専門家によるプロジェクト提案書の評価・審査を終え、建設候補地を選択中だ」と述べた。科技日報が伝えた。
高温ガス冷却炉は中国が独自開発する、固有安全性を持つ第4世代先進原子力技術だ。中国はこれまで10MW高温ガス冷却実験炉の建設・稼働に成功している。国家科学技術重大特別プロジェクトの援助を受け、山東省栄成市で建設中の、世界初の20万kW高温ガス冷却炉ビジネスモデルプロジェクトが順調に進んでいる。すでに全面的な設備取付・調整段階に入っており、2020年に稼働開始する見通しだ。
60万kW高温ガス冷却炉プロジェクトは、中国が既存の原発設備製造能力及びモデルプロジェクトを踏まえた上で設計されている。プロジェクトは6つの原子炉モジュールの設計案を採用し、モデルプロジェクトと同じ安全性、メイン設備設計、運行データを持っており、通常の加圧水型原子炉の建屋の体積及び敷地面積に相当する。モデルプロジェクトの研究開発及びプロジェクト実施の経験に基づき、60万kW高温ガス冷却炉プロジェクトは経済性をさらに最適化していく計画だ。
「60万kW高温ガス冷却炉プロジェクトの建設を早期始動し、『原子力による水素製造』などを国家科学技術重大特別プロジェクトに組み込むことを提案する」。銭氏によると、高温ガス冷却炉は安全性が高く、排気温度が高いといったメリットを持っている。高温・高圧の特徴は、大規模な水素製造に適している熱化学循環水素製造技術と非常にマッチし、原子力で水素を製造するため最も適した炉とされている。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年3月11日