第15回中日韓FTA交渉が開催 RCEP以上を目指す

人民網日本語版 2019年04月12日15:58

中国、日本、韓国は今月9日から12日にかけて、東京で中日韓自由貿易協定(FTA)の第15回交渉を開催する。今回は貨物やサービス市場の開放といった核心的問題について話し合うほか、通関、競争、ECなどの規範をめぐるグループ交渉の再開を計画している。現在、3ヶ国とも年内の妥結を目指す「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)の交渉に参加しており、RCEPよりさらに高水準の貿易自由化をめぐり重点的に討論を行うとみられる。「国際商報」が伝えた。

過去1年間、中日韓と周辺の地域情勢は全体として積極的かつ好転した。3ヶ国の間のFTA交渉プロセスを加速させ、経済発展のパイを共同で拡大しようとの共通認識はますます強まっている。今回の交渉の進展には大いに期待できる。

▽交渉プロセスが加速

習近平国家主席は昨年11月に開催された第1回中国国際輸入博覧会で発表した演説の中で、「中国はRCEPの早期妥結を推し進めることと、中日韓FTAの交渉プロセスの加速に力を入れる」と述べた。

国務院の李克強総理は今年の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)開催期間中に記者からの質問に答える中で、「今年は中日韓首脳会議メカニズムの構築20周年にあたり、中国は議長国を務める。中国は日本や韓国と会議の議題について話し合う。現在のような世界で保護貿易主義が台頭する大きな背景の下で、中日韓FTAの建設を推進し、全面的で、高水準で、互恵の協定を締結することは、3ヶ国のいずれにとってもメリットがある」と述べた。

商務部(省)の王受文副部長は全国両会開催期間中、「李総理の発言からわかるのは中国政府が中日韓FTAを非常に重視していることで、中日韓FTAを非常に積極的に支持する中国の態度も現れている。3ヶ国が確定した目標は、中日韓は独自の価値をもったFTAを締結し、貨物、サービス、投資の3大市場の参入分野をRCEP以上とし、『RCEP+』の合意を達成するというものだ」と述べた。

実際、中日韓FTAは2013年にスタートしてから紆余曲折を経てきた。その原因は韓国と日本の関係悪化、中国と日本の関係の浮き沈みにあり、なかなか思うように発展しなかった。

日本企業(中国)研究院の陳言執行院長は、「しかし外部環境と各国の経済・産業の発展水準の変化にともない、現在の中日韓FTA交渉が直面する情勢は6年前と大きく様相を異にする。2018年には中日関係と中韓関係が安定好転した。ただ、韓日関係が依然として緊張状態にある。中日関係、中韓関係が改善した原因は、まず保護貿易主義の台頭により3ヶ国が政策の出発点を見直し、3ヶ国間の政治・経済関係を積極的に調整し、FTA交渉プロセスを加速したことがある。また3ヶ国が良好な政治的・経済的ムードの中でなければ互恵・ウィンウィンを達成し、ともに発展を目指すことはできないとの共通認識に達したことがある」と述べた。

▽チャンスを活用 挑戦に対応

グローバル経済情勢の変化、3ヶ国の産業・経済構造の調整にともない、中日韓FTA交渉はかつてないチャンスを迎えている。

中国社会科学院世界経済・政治研究所国際貿易研究室の蘇慶義副室長は、「RCEP交渉が完了に近づけば近づくほど、中日韓FTA交渉プロセスは加速する。RCEPは5年あまりの交渉を経て交渉終了の積極的なシグナルを盛んに発している。中日韓3ヶ国はRCEP加盟国として、RCEPの枠組内で交渉の経験を蓄積し、またRCEP交渉を通じてお互いの関心を理解しており、こうしたことが今後の中日韓FTA交渉のコミュニケーションや駆け引きのコストを引き下げることは確実だ」と話す。

もちろん、中日韓FTA交渉も一連の挑戦に直面している。中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の沈銘輝研究員は、「3ヶ国は貿易や投資の自由化、円滑化で共通認識に達したが、具体的な交渉の議題やルールについては引き続き交渉する必要がある。今回の交渉ではこれまでの貨物貿易からサービス市場の開放へと重点が移されており、通関、競争、ECなどの規範をめぐるグループ交渉の再開も計画される。これから実質的で具体的な議題やルールの交渉に入る際には、3ヶ国は一層精力を傾けて交渉を進めなくてはならない」と指摘する。(編集KS)

「人民網日本語版」2019年4月12日

  

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