ブラックホール撮影成功は何を意味し、画像処理に2年を要した理由とは?

人民網日本語版 2019年04月10日15:26

ブラックホールの姿を捉えることを目的とした世界の電波望遠鏡で観測する国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」に参加する天文学者らは北京時間今月10日夜9時に、東京、ベルギー・ブリュッセル、チリ・サンティアゴ、上海、台北、米ワシントンD.C.の世界6都市で同時に「画期的な成果」を発表する予定だ。ミステリアスなブラックホールの実態に迫る人類史上初の画像がまもなく公開されることになる。ブラックホールとは何なのか、ブラックホールを捉えた画像の撮影成功は何を意味するのかについて、中国科学院国家天文台研究員の苟利軍氏に取材した。

苟氏によると、ブラックホールは、極めて高密度かつ大質量の天体で、吸い込まれると物質だけでなく光さえ脱出することができないほど強い引力を備えている。ブラックホールの大きさはその質量によってきまり、シュワルツシルト半径で表現する。例えば、太陽質量をもつブラックホールのシュワルツシルト半径は約 3キロで、直径は約6キロ。このように、100万個の太陽質量をもつブラックホールのシュワルツシルト半径は300万キロ、直径は600万キロということになる。

ブラックホールにはどんな役割があり、地球が吸い込まれる可能性はあるのだろうか?その点について苟氏は、「普通の人の生活に直接的な影響はない。ただ、ブラックホールは、宇宙の一点から別の一点へワープできる抜け道と考える物理学者もいる。有名な物理学者・故スティーブン・ホーキング博士は、『ブラックホールの中心は、平行宇宙への入り口だ』との見方を示したことがある。彼の説はブラックホールを通して、ものすごいスピードで地球から遥か遠い場所、または平行宇宙へ到達することができるかもしれないというものだ」と説明する。

ブラックホールの画像を撮影することに成功したならば、人類はその人類史上初めてその存在を直接的に確認することができることになる。これまでは、さまざまな間接的な方法でブラックホールの存在を確認してきたが、どれも直接的な方法ではなかった。ブラックホールの画像は、科学者が基礎的問題を解く助けになると期待されている。例えば、ブラックホールの周囲には分流があり、それは銀河系全体において非常に重要な役割を果たしているが、その作用がどのように生まれているのかははっきりしておらず、ブラックホールの周囲の状況を画像で見ることができれば、最も基本的な科学的問題を解く助けになる。

また1枚の画像の処理に約2年間を要した理由について、苟氏は、「世界の8ヶ所にある望遠鏡のデータが関係するため、データ量が膨大である一方で、データ処理の過程で多くの技術的難題が存在するからだ」と説明した。(編集KN)

「人民網日本語版」2019年4月10日

  

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