不動産購入制限政策により不動産市場の引き締めが行われている中国の大都市では、不動産購入資格のもつ魅力の大きさは想像をはるかに超えている。不動産購入資格を手に入れるために離婚するとか、結婚の登記をしないとかは、今の若者にとってそれほど珍しいことではない。また女性が精神的にも経済的にもますます独立するようになるにつれ、多くの若者にとって結婚は主体的な選択肢の1つになり、必需品ではなくなった。第一財経日報が伝えた。
▽非婚と離婚の背景
国家統計局と民政部(省)がまとめたデータによると、2018年中国全土の結婚率は7.2‰で、13年以降の最低を更新した。13年の9.9‰から18年の7.2‰まで、この5年間に全国の結婚率は低下を続けた。18年の全国の結婚登記人数は1010万8千組で、離婚登記人数は380万1千組だった。結婚率が5年続けて低下した一方で、離婚率は15年連続で上昇した。
離婚結婚比率(一定期間内の離婚組数の結婚組数に対する割合)は38%だった。これはつまり、100組のカップルが結婚登記を行うと同時に、38組のカップルが離婚登記を行ったということになる。
離婚は双方の感情のもつれによるとは限らない。結婚前に2人で資金をかき集めて不動産の頭金を支払う夫婦は、結婚する前にすでに離婚の計画をちゃんと進めている。将来一軒目の不動産を購入する資格を保留するために、不動産をあえて夫だけの名義にし、住宅ローンもすべて夫一人の名義にする。その目的は、将来わざと離婚することによって、名目上は不動産もローンもない元妻も一軒目の不動産を購入する資格をもてるようになることだ。
これは個別のケースではない。
▽晩婚・非婚がトレンド 若い人はどう考えているのか?
北京盈科(上海)弁護士事務所の趙健弁護士は、「女性の独立意識の高まりが結婚率低下と離婚率上昇の深層レベルの原因だ」と話す。
18年5月の最高人民法院(最高裁に相当)ビッグデータ管理・サービスプラットフォームが発表したビッグデータ専門テーマ報告書によると、全国の裁判所で16年1月1日から17年12月31日までに一審判決が出た離婚の民事裁判のうち、73.40%は女性側が訴えを起こしたものだった。
婚姻存続期間をみると、結婚から2〜7年が破綻の確率が最も高い時期だった。離婚の原因は、「感情のもつれにより裁判所に婚姻関係の解除を申請」が77.51%、「家庭内暴力により婚姻関係の解除を申請」が14.86%だった。
不動産価格の高止まりがもたらす圧力を緩和するための政策や購入制限を回避するための政策のほかにも、結婚率低下と離婚率上昇に対処するには、政策面、経済面、心理面などさまざまな側面が考えられる。