企業における最高経営責任者(CEO)の役割というものは間違いなく非常に重要だ。このため、CEOを募集・採用する際には、その性格上の特徴や行動スタイルといった要素を考慮する必要がある。専門誌「コーポレート・ファイナンス」にこのほど発表された最新の研究によると、既婚かどうかという点も、CEO採用時に考慮すべき重要な要素の一つであるとしている。なぜなら未婚のCEOに比べ、既婚のCEOは、企業の社会的責任に関する問題をより重視し、利潤の最大化を追求することと企業の社会的責任を履行することとの関係性のバランスを取ることにより長けている傾向があるからだ。科技日報が伝えた。
この研究は、米コネチカット大学とカナダ・サスカチュワン大学の研究者による共同研究。研究チームは、1993年から2008年の間に米国企業2163社に対する調査研究を実施し、企業の社会的責任を履行する点においては、既婚のCEOが率いる企業の方が、未婚のCEOが率いる企業よりも明らかに優れており、既婚CEO企業の社会的責任に対する評価指数は、未婚CEO企業を大幅に上回った。年齢・就任期間・性別・報酬といった変数を控除した場合でも、その結果は変わらなかった。既婚のCEOが率いる企業は、雇用・女性の昇進・少数民族や障がい者の雇用、従業員の福利厚生・労資関係、利潤分配など各方面でより優れていた。
また、研究チームは、企業約3500社について、CEO交代後の会社の業績についても調査を進めた。その結果は、やはり、上述の結論を実証する内容だった。一般的に、既婚のCEOから未婚のCEOに交代すると、社会的責任を履行する面で著しく低下していた。
研究チームは、「社会科学研究の角度からみると、既婚のCEOは、社会に対する親しみやすさを天性備えており、家庭生活によって彼らの視野はより拡大し、それによって、利潤の最大化と企業の社会的責任との関係のバランスをより良く取ることができるようになっている。一方で未婚のCEOは企業の社会的責任の決まりや基準をないがしろにするという訳ではなかったが、企業が担う社会的責任に対する認識がやや欠けていた」と指摘している。
さらに研究チームは、現代の企業にとって、利潤の最大化と企業の社会的責任との関係のバランスをとる能力は必ず学ぶ必要があるとした上で、CEOを採用する際には、その婚姻状態で採用の可否を決めるというような差別をしてはならないが、未婚のCEOを採用した場合、企業の社会的責任感を培う教育や研修が必要不可欠だ」と指摘した。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年9月23日