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発展期迎えるブロックチェーン 中国で応用される業界とは?

丸わかり!中国キーワード

人民網日本語版 2019年10月29日13:15

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中国共産党中央政治局は今月24日午後、ブロックチェーン技術の発展現状と動向をめぐる第18回グループ学習を開いた。議長を務めた習近平中国共産党中央総書記は「ブロックチェーン技術の統合応用は、新しい技術革新や産業変革において、重要な役割を果たしている」と強調した。

第13次5カ年計画(2016‐20年)に盛り込まれたブロックチェーンの中国の国家テクノロジー戦略における位置づけはさらに向上し、発展期を迎えている。

ブロックチェーンが人工知能と同じ地位に引き上げられる

中国商務部(省)CECBCブロックチェーン専門委員会の呉桐副主任は、「習総書記が、ある特定の技術に的を絞って、詳しいことを述べることはあまりない。これまで、習総書記が詳しいことを述べ、中央政治局のグループ学習でも取り上げられた特定の技術には、インターネットや人工知能(AI)がある。つまり、ブロックチェーンは少なくとも人工知能と同じ地位にまで引き上げられたということ」と指摘した。

実際には、1年前の5月28日、習総書記は、中国科学院第19回院士大会、中国工程院第14回院士大会の重要談話で、ブロックチェーン・人工知能、量子情報、モバイル通信、モノのインターネットなどを全て次世代情報技術の代表として列挙した。

ISO/IEC JTC1モノのインターネット・ブロックチェーン融合研究グループの責任者を務める沈傑氏は、「習総書記は今回の談話でも、ブロックチェーンをこれほど重要な位置に置いたのは、ブロックチェーンやモノのインターネットなどの技術の分野で他国の制約を受けたくないということ。習総書記は今回、基礎技術研究、業界での応用実施、デジタル経済の商業奨励スタイル融合など、ブロックチェーンをめぐる3つの側面の発展に関して、明確な指示を出した。それにより、業界の今後の発展やイノベーション・ブレイクスルーの方向性がよりはっきりした」と説明する。

ブロックチェーンとは?

中国科学院コンピューター技術研究所の博士研究員である、中科声竜科技発展(北京)有限公司最高経営責任者(CEO)の汪福全氏によると、サトシ・ナカモトが2008年にブロックチェーンという技術とそれを利用したビットコインを提唱した。そして、2014年ごろになると、専門技術として注目を集めるようになった。

沈氏は、「分散型台帳技術というのがブロックチェーンの最も分かりやすい説明だ。つまり、異なる主体が管理するサーバーが一つの台帳を管理するという方法だ」と説明する。

「これまで、銀行や企業、個人などは、関連の台帳の記録やデータの記録を集中化するか、単一の責任主体が記録するかしていた。そのため、データ改ざんなどの信頼性に関係する問題が起きやすく、それが理由で業務プロセスのコストも高かった。一方、ブロックチェーン技術は、分散型台帳・データ保存を実現しているため、データが改ざんされる可能性が極めて低く、データが真の意味での信頼と価値を持つようになり、それが一種の新しい資産になる可能性を持たせる。そして、社会全体に計り知れないほどのイノベーションソースをもたらす」と説明する。

マイクロソフトリサーチの元主管研究員で、現在、ブロックチェーンの分野で起業している王嘉平氏は、「現在、たくさんの情報システムは孤立しており、さまざまな機関によってコントロールされている。ブロックチェーン技術は、データの表示を基準化するだけでなく、コンピューターのロジカルも基準化し、一層基準化されたスタイルで事務処理を行うことができる。これは情報サイロの解決につながる」と語る。

汪氏は、「ビットコインをめぐっては大きな論争があるため、ブロックチェーン技術もずっと懐疑的な見方がある中で発展を続けている。しかし、ブロックチェーンは、インターネットよりも大きな変化を世界にもたらす技術の方向性かもしれない」との見方を示す。

暗号法がブロックチェーンをサポート

ビットコインは脱集中化され、インターネット上で資本が操作・運用されるため、各国の中央銀行はそれを受け入れない姿勢を示している。資本運用下でのビットコインは既存の世界の通貨金融体系をかく乱し副作用をもたらす可能性がある。しかし、デジタル通貨はインターネットイノベーションの成果で、それを支えるブロックチェーン技術に問題は何もない。資本主導運用やインターネット上で無秩序に発展するビットコインやブロックチェーン技術を秩序ある監督・管理下に治め、「良貨によって悪貨を駆逐」しなければ、インターネットを法律で管理されるデータ空間にすることはできない。

26日午後の第13期全国人民代表大会第14回会議の採決で暗号法が可決し、2020年1月1日から施行される。暗号法は、暗号の応用と管理を規範化し、暗号事業の発展を促進し、インターネットと情報の安全を守り、暗号管理の科学化、規範化、法治化の水準向上を目的としている。

中国は暗号法とブロックチェーン技術の発展を強調し、加えて中央銀行が深く研究を掘り下げているデジタル通貨運営の枠組みを通して、中国のインターネット技術応用における開放性を際立たせている。中国は、政策誘導や全面的カバーという優位性、さらにその強大な経済的実力をバックアップにしてブロックチェーン技術の研究を進めている。ブロックチェーン技術にしても、デジタル通貨にしても、制度の監督管理下と法治体系下に盛り込むことができる。そのため、ブロックチェーン技術の研究は、中国でデジタル通貨だけでなく、デジタル金融やモノのインターネット、スマート製造、サプライチェーン管理、デジタル資産取引など、さまざまな分野に応用される可能性を秘めている。

ブロックチェーン技術の使用を統合し、システムを管理できれば、中国は、インターネット技術や産業の統合発展のカギを握ることになる。そして、全てのビッグデータシステムも、無秩序ではなくなり、不確定性に満ちた情報が氾濫することもなく、誠実で透明性の高い生産力ツールとなる。

暗号法は、インターネット上での暗号の使用の法律的基礎となり、ブロックチェーン技術の使用統合の加速により、インターネットが「信頼性の高い機器」となる。その「ダブル効果」により、期待されている「システムのボーナス」がもたらされる。

中国国内ではどの分野にブロックチェーン応用できるか?

では、ブロックチェーンは、経済にどんなメリットをもたらすのだろう?業界のアナリストは、「ブロックチェーンは、分散型台帳の一種の形式に過ぎず、全ての分野に適しているわけでもない。応用する際は、実体経済の発展の必要に応じて活用しなければならない」と指摘する。

「雲象区塊鏈」の取締役社長である鄧旭氏は、「中国国外では、政治ガバナンス、公共応用、金融業界などの分野へのブロックチェーン応用が比較的成熟している。例えば、米国のナスダック証券取引所は、ブロックチェーンを企業のIPO(新規株式公開)の審査に応用している。企業は発足以降の株式情報、株主の権益などの情報をブロックチェーン上に記録でき、取引所の審査時間が短縮されている。公共の分野では主に、食品や薬品のトレーサビリティに応用されている」と説明する。

中国では現在、主に金融サービスやサプライチェーン管理、スマート製造、公共サービス、教育・雇用、文化・娯楽の6つの分野にブロックチェーンが応用されている。

ブロックチェーンはトレーサビリティが可能で、データの改ざんができないため、金融業界の本質やニーズにぴったりだ。そのため、ブロックチェーンの金融サービス分野への応用が、中国では現時点で最も進んでおり、成熟している。

決済の分野では、ブロックチェーン技術は、異なる金融主体間の台帳をめぐる問題を効果的に解決してくれる。そして、コスト削減や効率向上を実現してくれる。越境決済の分野では、ブロックチェーンは、ディセントラリゼーション技術を通して、P2Pの取引記録を実現し、金融包摂の実現をサポートすることができる。

サプライチェーンにおいて、ブロックチェーン技術は、サプライチェーンを、1本の整った情報フローにまとめ、異なる主体が各部分に存在する問題を発見することができるようにする。また、データを改ざんできないため、主体間にトラブルが発生した場合にも十分に一連の証拠を提供することができる。

公共サービスの分野にブロックチェーンを応用すると、信頼性の危機という問題を解決することができる。教育・雇用の分野では、主に学生の信用体系構築や知的財産の保護にブロックチェーン技術を活用することができる。文化・娯楽の分野では、共有性と不可変更性においてブロックチェーンが知的財産権の問題解決に一役買う。

ブロックチェーン技術は広い分野へ応用できる見込みがあり、将来のテクノロジー競争は、ブロックチェーンをめぐる競争になることは間違いないだろう。(編集KN)

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「人民網日本語版」2019年10月29日 

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