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暴徒の破壊行為で香港経済が大打撃 損失額はどのぐらいに?

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人民網日本語版 2019年11月21日11:11

5ヶ月以上にわたる、暴徒の違法な暴力行為により、香港地区の経済は大打撃を受け、第3四半期(7‐9月)の地域総生産は前年同期比2.9%減と、マイナス成長に陥った。今月15日、香港特別行政区政府経済顧問弁公室は、2019年の同地区の経済成長予測を1.3%減に下方修正した。下方修正は今年2回目で、通年でのマイナス成長となれば2009年以降初めてとなる。下半期に入っても続く違法な暴力行為により、経済全体は逆風にさらされており、輸出、消費、投資などが内的要因と外的要因の板挟みになって急速に悪化している。また、所得収入が落ち込み、失業率が上昇するなど香港地区の人々は「暗雲」に覆われており、暴徒があらゆる極端な手段を用いて公共施設を破壊していることのしりぬぐいをするのも結局は市民となってしまっている。

産業が衰退し 失業率が上昇 経済が技術的衰退に

特別行政区政府経済顧問の欧錫熊氏は15日、「2期連続で、前期比でマイナス成長となったということは、香港地区の経済が既に技術的衰退に突入したことを意味している。ここ10年で、香港地区の経済が衰退するのは初めてだ」との見方を示した。

香港地区の経済が衰退している原因の一つに世界経済の成長鈍化や貿易摩擦など、外需の落ち込みが挙げられる。それに加えて、激化するデモ活動があり、それが自滅行為になっている。今年上半期は外的要素の影響を受けて、香港地区のGDPは第1四半期(1-3月)が前年同期比0.6%増、第2四半期(4‐6月)が0.4%増と、微増にとどまっていた。

香港地区の経済はターニングポイントを迎えたのは6月だ。空港がマヒ状態に追い込まれ、地下鉄や商店が破壊され、市民が暴力を振るわれるなど、暴徒の行為により、香港地区のイメージは大幅に悪化。多くの人が旅行を控えるようになっている。6月に香港地区を訪れた旅行者数は延べ77万人減少し、小売り総額も6.7%減となった。香港地区の通関地の統計によると、今年6‐9月期、同地区のインバウンド客数は前年同期比約延べ378万人減となった。

混乱の影響を最も受けているのがインバウンド旅行と関係のある飲食業や小売り業、ホテル業で、同3業界の業績は月を追うごとに悪化している。

小売り業を例にすると、6‐9月期、香港地区の小売り売上高は 1289億香港ドル(1香港ドルは約13.87円)と、前年比で224億香港ドルも減少した。

小売り業界にとって、クリスマスシーズンは書き入れ時であるものの、今年はそれも期待することはできない情勢となっている。香港地区小売り管理協会の謝邱安儀会長は、「10月の小売り統計が過去最悪となった8月よりも悪くなる可能性も排除できない。11月と12月の販売も全く楽観視できない」と警鐘を鳴らす。

香港地区の観光、小売り、飲食、貿易の公式統計によると、6‐9月期、4大業界の收益は3000億香港ドル以上減少した。10月の最新統計はまだ発表されていないものの、業界は減少幅がさらに拡大していると予想している。10月を含む過去5ヶ月、経済收益が4000億香港ドル以上減少することはほぼ間違いない。

悪化の波は、香港地区の四大産業の一つである貿易と物流業にもドミノ倒しのように波及している。暴力行為により、空港が運営停止に追い込まれたり、交通機関がマヒ状態に陥ったりして、物流の時間的不確定要素が大幅に増加している。また、インバウンド客数が大幅に減少し、消費の減少や貿易の落ち込みに直接つながっている。香港地区特別行政区政府統計処の最新統計によると、9月の輸出入総額は7270億香港ドルで、前年同期比で約9.5%の落ち込みとなった。

そして産業が不振に陥ると、失業率が上昇する。現在、香港地区の失業率は1ポイント上昇して2.9%になっている。過去2年、失業率が上昇したことは一度もなかった。なかでもその直撃をうけているのが小売り、ホテル、飲食業界で、失業率は平均4.9%にまで上昇、ここ数年最悪の数字となっている。特に飲食業界にかぎっては6.0%と、ここ6年で最悪となっている。その他、香港地区の住民の所得の伸びも鈍化している。労働組合・香港工会連合会が最近実施したアンケート調査によると、回答者の44%が今後所得が減ることのほか、リストラに遭うのではないかと不安に感じていた。もし、このまま失業率が右肩上がりになれば、香港地区の消費に大きな影響を及ぼすのは必至で、そうなれば投資が落ち込み、内部の成長の原動力が弱まり、香港地区の経済にとってはまさに泣きっ面にハチの状態となってしまう。

通年でマイナス成長は不可避か

特別行政区政府経済顧問弁公室は15日、2019年の同地区の経済成長予測を1.3%減に下方修正した。下方修正は今年2回目で、通年でのマイナス成長となれば2009年以来10年ぶりのことだ。

今年2月、特別行政区政府は財政予算案を発表した際には通年の経済成長を2-3%と予想していた。しかし、8月中旬に、経済の落ち込みが続き、それを0-1%に下方修正。今の混乱している情勢を背景に、第3四半期に経済はさらに悪化して、上半期の成長分を相殺し、GDPが前年同期比で0.6%減となり、予想を大幅に下回った。

香港地区特別行政区政府財政司の陳茂波・司長は、「経済が好転する気配は見られず、予想通りの成長に戻ることはないと言っていいだろう。成長予測を下方修正することは避けられない。つまり、今年の経済はマイナス成長となる可能性が高いということだ」との見方を示す。

香港地区の住民一人当たりの損害額は?

香港観光促進会の崔定邦・総幹事によると、ほとんどの旅行会社の業務が7月から落ち込み、8月には中国大陸部からのツアー団体数が激減して、4割以上減となった。2ヶ月以上利益がないという旅行会社も多い。ここ5ヶ月の間、新しい業務が全くないという旅行業界関係者もかなり多く、多くの旅行会社は仕方なく従業員に「無給休暇」を通告している。

「無休休暇」ということは收入がなくなるということだ。業界関係者の背後にはその家族がおり、そうした人々も被害者となってしまう。業界関係者の家族みんなが経済的苦境に追い込まれているのだ。2ヶ月間収入がなく、その状態が3ヶ月、4ヶ月と続くとすると、どれほどの問題となるかは想像に難しくない。

破壊行為のしりぬぐいをするのは結局市民

香港地区の秩序を乱すために、暴徒は、立法会総合ビルに突入したり、政府の建物を包囲したり、街中や地下鉄駅出入口で放火したり、道路をふさいだり、政府の建物、信号など公共施設を破壊するなど、あの手この手を尽くしている。しかし、暴徒があらゆる極端な手段を使った破壊行為のしりぬぐいをするのも結局は市民だ。

香港保安局の李家超局長がこのほど発表したデモ活動により破壊された公共施設の状況によると、10月29日の時点で、地下鉄93駅のうち85駅、ライトレール68駅のうち60駅で暴徒による破壊行為があった。例えば、自動改札機が約1600回、券売機、オクトパスカード関連設備、チェックマシン、カスタマーサービスセンターの設備などが960回、ライトレールのプラットフォームのオクトパスカード設備が915回、監視カメラが約1100回、エスカレーターが75回、エレベーター約50回、駅の出入口のガラスの壁が約1060回、駅の出入口のシャッターが130回、それぞれ破壊行為に遭った。

また、今年6‐10月末の間に、街中の信号460機が約850回破壊、妨害され、街路灯40機が破壊され、ガードレール45.6キロメートル分が破壊され、歩道のレンガ2900平方メートル分がはぎとられた。食物環境衛生署が管理するゴミ箱670個も破壊された。

文化的公共施設も大きな影響を受けている。6月から現在に至るまでに、レジャー・文化事務署が管轄するレジャー施設(公共プール、体育館、運動場、公園など)もデモ活動の影響を行け、合わせて1900回以上、営業を停止した。

公共交通機関を見ると、10月末までに、フランチャイズバス300路線以上、公共バス300路線以上、電車の全ての路線が、走行する道の変更や営業停止に追い込まれている。

公共施設が破壊されると、市民の生活に大きな影響が出るだけでなく、それら施設を修復したり、取り換えたりしなければならず、それにかかる費用の負担は結局市民が負担することになる。立法会ビルの修復には約1億香港ドル、路政署が修復や取り換えを担当する施設に必要な費用は1000万香港ドル以上、食物環境衛生署が新しいゴミ箱を設置するのに約56万香港ドルが必要だ。地下鉄の施設の被害額はまだはっきりとは分かっていないものの、5790回も破壊行為を受けたことを考えると、その額は相当高額になるのは間違いない。

香港地区の損失は年間で1千億香港ドルか

特別行政区政府が通年の成長予測を2-3%から下方修正して0-1%にしたことから計算すると、2018年、香港地区のGDPは2兆8453億1700万香港ドルで、今年のGDP成長が0%で前年と比べて横ばいだったとすると、暴力行為が同地区の経済にもたらす直接的な損失額は約1千億香港ドルに達することになる。

ここ数ヶ月、特別行政区政府は「企業をサポートし、雇用を守る」ための対策を講じ、そのために投じられた資金額は200億香港ドル以上に達している。しかし、香港地区特別行政区の林鄭月娥・行政長官が指摘するように、「それらは対処療法に過ぎず、抜本的に問題を解決するためには、1日も早く暴力行為を阻止して、落ち着きを取り戻さなければならない。そして、落ち着きを取り戻した後も、経済を回復させるためにたくさんのことをしなければならない」。(編集KN)

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「人民網日本語版」2019年11月21日

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