3.低迷していた低線都市の消費市場が備える大きな潜在力
「報告」から低線都市を商品配送先住所に変更するケースの増加スピードは、高線都市の増加スピードを上回っており、四・五線都市の消費総額増加スピードは、他の高線都市を引き離している。強い購買力を備えた多くの人々が高線都市から低線都市へと流入する傾向が、低線都市の消費の繁栄と消費構造の最適化を後押ししていることは、とくに注目に値する。
多様化が進む居住都市の選択基準
ミクロの視点でみると、若者が居住都市を選ぶ際、どのような考え方から判断するのだろうか?
【ビジネスチャンスを重視する場合】
ビジネスチャンスを重視した場合、一線都市が確かな選択肢となる。河北省邢台市出身の楊志聡さん(男性)は、2016年に大学院を卒業後、北京で就職した。その後3年間で2回転職したが、北京でキャリア発展を続けるという姿勢を変えることは無かった。楊さんはその理由について、「北京には優れた資源が集中しており、就職ポストの選択肢も広い。実家からも近い上、生活も非常に便利だ。北京の生活リズムはとても速いが、ここでは充実した気持ちで暮らしていける。進歩するスピードももっと速い」とした。
【仕事と暮らしの快適さを重視する場合】
仕事と暮らしの快適さを重視している重慶出身の夏子傑さん(女性)は、不動産企業の重慶支社で働いている。名門大学を卒業した彼女は、「私も北京・上海・広州・深センなど一線都市の華やかさやスピーディなリズムに憧れていたが、郷里でキャリア発展を目指したことに後悔はしていない。一線都市の不動産価格は異常なほど高く、就職のチャンスは多いが生活におけるプレッシャーもまた大きい。重慶は、数年前から非常に良い発展すう勢を見せており、旧知の親戚や友人も多い。食生活も居住空間においても重慶は私のライフスタイルに非常に良くマッチしている」とした。
【専門分野にマッチした就職先を重視する場合】
なかには専門分野にマッチした就職先を重視する人もいる。天津工業大学4年の頼志文さんは、卒業後の就職先について、ずっと考えているという。頼さんは、「周囲の状況を見ると、若い人が居住地を選択するカギを握るのは、その人の育った環境に影響されている。たとえば、大都市出身の若者の多くは、キャリア向上のために妥協することを厭わない。自分が良く知っている都市に住み続けているという優位性があるため、そこで生き延びる難易度は、別の場所からやって来た若者よりも明らかに低い。これに対し、農村や小都市出身の若者は、専門でのキャリア発展に有利で、速やかに都市に根を下ろすことができるという理由で、その都市が『自分の専攻にマッチした』仕事を提供してくれるか否かをより重視する。若者はいまでは総合的な検討をするようになり、ある都市に対して極端にこだわる人や盲目的に追従する人はますます少なくなってきている」との見方を示した。
こうした選択基準だけでなく、家賃や交通、気候、飲食、戸籍政策なども、人々が「安らかに暮らし楽しく働く」場所を選択する上での重要な要素となっている。複合的な要素が総合的に作用して、人口流動のすう勢に影響を及ぼしているのだ。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年11月27日