2019年の終わりまであと40日を切った。これまでに中国全土の少なくとも17省・自治区・直轄市が2019年企業賃金指導ラインを発表している。人々の賃金はいくら上がっただろうか。中新経緯が伝えた。
企業賃金指導ライン制度は企業の賃金を通じた所得分配を政府がマクロ調整・コントロールする制度であり、企業が賃金をめぐる集団協議を行う際の基本的な根拠となるものだ。平均賃金上昇率の基準ライン、上限ライン(警戒ラインとも)、下限ラインで構成される。
筆者による大まかな統計によると、11月24日現在、北京市、江西省、山西省など全国の少なくとも17省区市が19年指導ラインを発表したほか、広西壮(チワン)族自治区は9月に19年指導ライン意見募集稿を発表しており、フォローアップと調整が行われる見込みだ。
13省区市の基準ラインが7%以上
各省区市が発表した19年指導ラインをみると、これまでに17省区市のうち寧夏回族自治区が6.5%、吉林省が6.0%、上海市が5-6%、新疆維吾爾(ウイグル)自治区が5%だった以外は、残りの13省区市はすべて7%以上だった。北京、江西、山西、遼寧省はいずれも8%を上回り、中でも北京は8-8.5%で首位に立った。
17省区市のデータを整理すると、貴州省(18年の指導ラインが不明)を除き、今年は各地で基準ライン、上限ライン、下限ラインが変動した。基準ラインをみると、今年は遼寧と青海省が18年のラインから引き上げる調整を行い、北京、山西、甘粛省、天津市、陝西省、寧夏、上海、新疆の8省区市は引き下げる調整を行い、その他は調整を行わず据え置きだった。
上限ラインをみると、今年は北京、江西、上海がラインを設定しておらず、遼寧、内蒙古(内モンゴル)自治区が引き上げ調整をし、山西、甘粛、寧夏、吉林、新疆の5省区が引き下げ調整をした。下限ラインをみると、内蒙古が今年は設定せず、雲南省と寧夏は引き上げ調整を行い、北京、陝西、上海、新疆の4省区市は引き下げ調整を行った。山東省は今年から上限ラインと下限ラインの発表をやめた。
企業賃金指導ラインが低下すると賃金が減るのではないかと心配する人がいる。この懸念に対し、地方政府の人的資源・社会保障部門の関係責任者は、「企業賃金指導ラインがやや低下したことは、賃金がマイナス成長になることを意味しない。ただ賃金上昇幅がこれまでより縮小するだけだ。基準ライン、上限ライン、下限ラインの3つの指導ラインがすべてマイナスにさえならなければ、政府が指導する労働者の賃金上昇幅は拡大傾向にあるということになる」と説明した。
上記17省区市のほか、広西は今年9月に「広西壮族自治区人的資源・社会保障庁の2019年企業賃金指導ラインの発表に関する通知(意見募集稿)」を発表しており、指導ラインを調整するとみられる。「意見募集稿」に基づき、広西は19年に企業の通貨での平均賃金上昇率6%を基準ラインとし、上昇率11%を上限ライン(警戒ライン)に、上昇率1%を下限ラインにする予定だ。18年は基準ラインが7%、上限ラインが11%、下限ラインが2%だった。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年11月25日