中共中央と国務院がこのほど発表した「長江デルタ地域一体化発展計画綱要」(以下、「綱要」)では、長江デルタ地域の一体化発展の具体的目標が打ち出された。これには、戸籍制度改革の深化、都市・農村住民を身分的に平等とする戸籍登録制度の構築、ハイレベル人材を対象にした戸籍を移動しない・関係性が変化しないといった柔軟性の高い流動システムの建設模索などが含まれている。「綱要」では、上海自由貿易区に新エリアを新たに設置し、一連の特別政策を実施し、貿易の円滑化・自由化を支援するとしている。
「綱要」の概要は次のとおり。
〇中小都市と鎮の定住制限を全面撤廃
戸籍制度改革を深化し、都市・農村住民を身分的に平等とする戸籍登録制度を構築する。都市部における基本的な公共サービスは、全ての居住人口を網羅し、都市の包容性を高め、農村からの転入人口の市民化を秩序立てて推進する。
上海という超大都市の特色に適した戸籍管理制度や、南京・杭州などの特大都市におけるポイント制による定住制度を完備し、中心エリアのその他都市の人口集約力を高め、Ⅱ型大都市・中小都市・鎮の定住制限を全面的に撤廃する。また、農村人口が、条件が整った発展チャンスの大きな城鎮・特色ある小鎮・中心村に移動し、比較的集中した形での居住や起業発展を行えるよう後押しする。都市部の人材が双方向に流動するよう促し、都市の人材が故郷に戻って起業するよう奨励する。
〇上海自由貿易区に新エリアを再び設置
上海の大治河以南、金匯港以東及び小洋山島、浦東空港南側地域に新エリアを設置する。初期面積は120平方キロメートルまでとする。
このエリアでは、多国籍企業の地区運営・管理、注文センター、決算センターなどの本部経済を重点的に発展させ、バイオ医薬、集積回路、産業のインターネット、先端装備製造業など先端産業を発展させる。大口商品、金融サービス、デジタル貿易など新型国際貿易を発展させ、国際業務、グローバル金融サービス、先端技術の研究開発、グローバルサービス貿易などの統一化を推進し、開放型経済集中機能を強化する。
〇「都市圏一体化通勤」を実現
2025年までに、越境区域や都市・農村など地域の一体化発展をハイレベルまで到達させる。
例えば、都市圏一体化発展を加速し、都市圏一体化通勤を推進し、都市間鉄道ネットワーク建設の推進を加速させ、市内鉄道の周辺中小都市への延伸を推進する。また、率先して都市圏における公共交通化旅客輸送サービスを実現し、スピーディで簡便な都市通勤圏を構築する。高速鉄道による宅配・電子商取引専用列車の発展を支援する。
各方面が力を合わせ、世界レベルの空港群を形成する。長江デルタ地域民間航空協同発展戦略計画を制定・実施し、地域の航空国際競争力を引き上げる。南通新空港の建設計画を進め、上海国際航空拠点の重要な構成要素とする。杭州、南京、合肥エリアの航空拠点機能を最適化・向上させ、寧波や温州などの地域航空サービス力を増強し、蘇南碩放国際空港での地域拠点空港建設を支援する。航空貨物輸送のための施設の建設を強化し、合肥国際航空貨物輸送集散センターや淮安航空貨物輸送拠点の建設を加速させ、嘉興航空連携輸送センターの建設を計画する。
〇長江デルタ地域一体化戦略と2025年までの発展目標
〇地域の範囲
長江デルタ地域一体化発展計画には、上海市、江蘇省、浙江省、安徽省全域が含まれており、中心エリアは27都市で構成される。
●都市・農村地域の協調発展
中心エリアにおける都市・農村住民の所得格差を2.2:1以内にコントロール
中心エリアGDPと全域住民1人たりGDPの格差を1.2:1まで縮小
居住人口の都市化率の70%以上達成
●インフラ
鉄道網の密度507キロメートル/万平方キロメートル以上を達成
高速道路の密度5キロメートル/百平方キロメートル以上を達成
5Gネットワークのカバー率の80%以上達成
●公共サービス
住民1人当たり公共財政支出2万1千元(約33万円)以上を達成
生産年齢人口の教育修業年限平均11.5年以上を達成
平均寿命79歳以上を実現
「人民網日本語版」2019年12月3日