「どうしよう、感染してしまったかも?」李さんは怖くなり、1人で密かに泣いた。この頃、全国の感染者数は571人にまで増えており、李さんもすでに自発的に自宅待機し、夜だけ散歩に出ているような状況だった。
体温は38℃まで上がり、出る痰は透明で、泡を伴っていた。李さんは、医学的な常識から、これは間違いなく問題だと感じた。李さんはなんとか自分を落ち着かせ、痰をふき取ると、家族にゴミ箱に触らず、マスクをするように念を押し、それから120番に電話をかけて救急車を呼び、自分は新型コロナウイルスに感染した可能性が高いと相手に告げた。
「その時は心理的に『ネガティブフィードバック効果』があった。深刻な事態になったと考えるほど、病情がますます悪化した」。救急車の中で、李さんの体温は上がり続け、気分の悪さに嘔吐してしまったという。
2月8日、退院する前に医療従事者に別れの挨拶をする李霖琳さん(仮名、撮影・李安)。
李さんはこの小さな県の行政中心地で最初に隔離病棟に入院した人となった。CT検査や血液検査、アミノトランスフェラーゼなど各数値がどれも正常とは言えない結果で、免疫関連の細胞はかなり少なくなっていた。翌日夜、「咽頭スワブ検査」の結果が陽性となり、李さんは新型コロナウイルス感染による肺炎と診断された。
入院2日目は旧暦の大晦日にあたっていた。李さんは新年になればすべてが好転すると思っていたが、深夜12時、突然呼吸がしにくくなったと感じ、心拍も弱くなった。頸部動脈を触ってみると、脈拍がほとんど感じられなかった。李さんはすぐに低酸素になったのだと気づいた。緊張したことで酸欠がひどくなり、李さんは懸命に自分を落ち着かせ、看護師を呼んで酸素ボンベを持ってきてもらった。