任天堂のニンテンドースイッチ対応体感型ゲーム「リングフィットアドベンチャー」は一夜にして価格が跳ね上がり、ゲーマーから「2020年に最も投資すべき資産運用商品」などと冗談交じりに呼ばれている。原因は他でもない。今回の新型コロナウイルスによる肺炎で、人々がこれまでになく家にこもっていた今年の春節(旧正月、今年は1月25日)連休期間に、この健康をサポートするゲームが、「ダイエット」という永遠のテーマと相まって瞬く間に人気を博したのだ。
2019年10月、任天堂はフィットネス機能を売り物にしたスイッチ対応体感型ゲーム「リングフィットアドベンチャー」を打ち出した。付属デバイスの「レッグバンド」と「リングコン」などを利用して、ジョギングやスクワット、レッグ・レイズなどのトレーニングをすることで、キャラクターの操作、モンスターとの戦い、ステージクリアなどを行うことができる。
このゲームはある意味で「ゲーム」の楽しみ方を新たに定義したといえる。ステージクリアがもたらす刺激よりも、フィットネスで体を動かすことの方が強調されている。プレイヤーはさまざまなフィットネスの動きをすることで攻撃力を高めると同時に、ステージを進みながらより多くのフィットネススキルを身につけることができる。その日のプレイが終わると、画面にはプレイ時間と消費カロリーが表示される。「インドア文化」の流行もあり、ゲームをしながらのフィットネスは、無味乾燥だった運動をワクワクするものに変えた。この点によって、「リングフィットアドベンチャー」は発売されてすぐに話題になった。
今回の新型肺炎で、このゲームが再び大ブームになると事前に予想した人はほとんどいなかった。だが、爆発的に跳ね上がった価格がその人気の高さを物語る。昨年10月に発売直後は約500-600元(1元は約15.9円)ほどで売られており、その後700-800元で落ち着いた。しかし感染が拡大すると、家でのエンターテインメントは限られるため、価格が急上昇した。今は淘宝(タオバオ)では1700元前後、京東プラットフォームでは2千元に迫り、元の価格のほぼ3倍になった。北京華冕遊戯のカスタマーサービスのスタッフは取材に対し、「今回の価格上昇の動きは先月に始まり、約1ヶ月で、当社のネット店舗で2千台以上を売り上げた」と話した。
上がり続ける価格に加え、プレイヤーが次々とゲームの評価をしたこともあって、このゲームは一時、ゲーム界のホットな話題になった。上海市のゲーマーである彭瓊さんは取材に対し、「1月末から現在まで、ほぼ毎日『リングフィットアドベンチャー』をしている。自分は去年10月に最も早く購入したプレイヤーの一人だが、仕事が忙しくて、ゲーム機はこれまでずっと家の中でほこりをかぶっていた。新型肺炎で毎日家にこもるようになったので、この時間を利用してプレイしている。一般的なフィットネスアプリよりも長く続けられるとは予想外だった」と話した。
ただ、スイッチ対応ゲームの販売量は大幅に増加したものの、新型肺炎の影響はやはり避けられない。任天堂はこのほど公式サイトを通じて、「新型肺炎により、スイッチの本体、ジョイコンなどの周辺機器の製造および輸送が影響を受ける恐れがある。現在品切れ状態の『リングフィットアドベンチャー』の輸送にも遅れが生じる可能性がある」との案内を行った。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年2月21日