香港のペット犬が新型コロナの弱陽性検出、人に感染するか

人民網日本語版 2020年03月05日14:42

香港特区政府漁農自然護理署はこのほど、新型コロナウイルスによる肺炎の感染確定者が飼っている犬の口腔・鼻腔の検体が弱陽性反応を示したと発表した。ただ、この犬には関連する症状が見られない。同署は、さらに検体を採取し化学検査を行うことで、この犬が新型コロナウイルスに感染しているのか、あるいは環境内のウイルスがその口腔及び鼻腔に付着したかを判断するとした。科技日報が伝えた。

◆ウイルス検査で弱陽性、感染したとは限らず

犬猫感染予防専門家で、中国農業大学動物医学院臨床獣医学部教授の呂艶麗氏は「本件の最大の意義は、感染の確定ではなく人々に注意を促したことだ。犬が本当に感染したかについては、多方面の証拠によるサポートが必要だ」と述べた。

ある動物ウイルス感染予防専門家は、「弱陽性はウイルスの濃度が低いということだ。新型コロナウイルスは現在PCR検査が中心的だが、この方法は一方で、ウイルスの一部のみを検出し、ウイルスが活性を持つとは限らない。もう一方で、犬のコロナウイルスと人のコロナウイルスの間には一定の配列の相同性がある。この犬はPCR検査で弱陽性反応を示したが、交差感染の結果を意味する可能性がある。さらなる検査により科学的な結論を導き出さなければならない」と述べた。

呂氏は「1回のPCR検査で弱陽性が出たとしても何かが確定されるわけではない。偽陽性と活性を失ったウイルスの可能性があるからだ。同じ犬の血液抗体検査でも陽性反応が出れば、非常に大きな意義がある。新型コロナウイルスの感染後、犬の体内からは新型コロナウイルスの特異性抗体が検出されるはずだ」と指摘した。

呂氏は、犬猫の新型コロナウイルスの感染に関する証拠は不十分であると述べ、感染症の深刻な武漢市を例に「現地の感染確定者は4万8000人で、ペット犬を飼っている人が多いが、現在まで犬の感染は報告されていない。これはペット犬がウイルスに感染し人にうつす可能性が非常に低いということを物語っている」と話した。

動物が新型コロナウイルスに感染しないことには、科学的な根拠があるのだろうか。獣医外科教授の林徳貴氏は最近、その関連知識を紹介した。コロナウイルスはすでに5万年存在しており、すべての種に適応するウイルスに進化している。コロナウイルスのファミリーには、大きくα、β、γ、δという4つのグループがある。αとβは主に哺乳類に、γとδは主に鳥類及び魚類に感染する。現在見つかっている犬猫のコロナウイルスはαで、新型コロナウイルスはβ。

また犬猫が新型コロナウイルスに感染しないのは、その体内にヒトのACE2受容体がなく、新型コロナウイルスのSタンパクと結合できない可能性があるという説がある。呂氏はこれをある程度認めているが、新型コロナウイルスは非常に複雑であり、ACE2受容体は一つの側面に過ぎないかもしれないと指摘した。(編集YF)

「人民網日本語版」2020年3月5日

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