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【イラストで知ろう!イマドキ中国】古いけど新しい中医薬

第15回

人民網日本語版 2020年03月25日08:25

中国では今回の新型コロナウイルスの治療に、西洋医学と中医学のそれぞれの特徴を活かした治療法が用いられている。重症化した患者には西洋医学の対症療法や救命処置がすぐさま効果を発揮するものの、軽症者にはそれぞれの年齢や基礎疾患、症状などに応じて、身体を整え、症状を緩和する中医学が功を奏している。今回は、そんな中医学の薬について紹介してみよう。人民網が伝えた。

中国では薬は大きく分けて3種類

日本で薬を買う時や病院で薬を処方してもらう時、「これは西洋薬だ」と意識して買ったり、処方してもらう人はあまり多くないと思う。もちろん日本の薬局にも漢方薬を使った「漢方生薬製剤」は売っている。しかし、中国ほど西洋薬と中医薬、中成薬(漢方生薬製剤)がそれぞれはっきりと分かれてはいない。中医薬とは植物や動物、鉱物から作られた薬で、中医の診断に基づいて処方されるいわば「カスタムメイドの薬」。一方の中成薬は治療を目的に、規定された処方と製剤技術によって、薬品として商品化した一種の漢方生薬製剤を指す。ちなみに漢方薬とは江戸時代のころに日本に伝わり、その後、日本の風土の実情に合わせて変更が加えられ、独自の発展を遂げた薬を指し、中医薬とはやや異なる。

錠剤やカプセルを飲みなれた日本人にはちょっとビックリな中医薬と中成薬

中医薬は一般的に煎じて飲むタイプが多い。現在、ほとんどの病院で「代煎」という煎じ薬を作る機械で煎じる作業を代行し、しかも1回分ごとにパッケージしてくれるサービスを提供している。これだとパッケージごと湯煎すればすぐ飲むことができるのでとても便利だ。

中成薬もカプセル状にした薬などが増えているが、飲むときにほんのり、しかししっかり中医薬の匂いがする。「口服液」という種類の1回服用分が1本の小瓶に入った液状の薬は専用の細いストローで吸い上げるのだが、これは匂いがわからない状態でいきなり口いっぱいに中医薬の味が広がるので、毎回飲むときにドキドキする。一番ポピュラーなのは顆粒になっていてお湯で溶かすタイプ。しかしこれもお湯を入れた瞬間に煎じ薬特有の匂いがあたりに漂うので、オフィスなどで誰かが飲んでいるとすぐわかる。そして初めて見たとき一番驚いたのが「蝋丸」。直径2~3センチほどの表面を薄く蝋で覆った白いプラスチックの丸いケースに入っているのだが、初めて見たときはそれがケースとわからず、とても飲み込めない!と目が点になった。ようやく試行錯誤してケースを半分に割ると、中から出てきたのは直径約2センチほどの黒々とした丸い薬。やっぱりこのままではとても飲み込めないサイズだ。最終的にちぎったり、噛んだりしながら飲み込めばいいということを教えられたが、「薬を飲む」という中国語がなぜ「吃薬(薬を食べる)」というのか、とても納得した瞬間だった。

今回の新型コロナウイルス感染による肺炎の治療に使われている中医薬「清肺排毒湯」のベースとなっているのは漢代の名医・張仲景が著した「傷寒雑病論」に記載されている咳や痰、熱などを抑える処方。漢代と言えば今からなんと約1800年前!現在、中国では中医薬を科学的に証明する研究が進んでおり、中医薬はまさに古いけど新しい中国の薬と言えるだろう(文・イラスト・玄番登史江、袁蒙)。

イラストで知ろう!イマドキ中国

人民網ではもっと身近なスタイルで今どきの中国を読者の皆さんに知ってもらうため、「つるにはまるまるむし爺さん」と「へのへのもへ郎」、「へめへめくつ美」の3人が流行語やカルチャー、時事問題など幅広いジャンルにおける「イマドキ」を紹介。中国ってこんな国なんだ!と興味を抱き、理解を深めるきっかけにしてみてください。

「人民網日本語版」2020年3月25日 

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