北京に留まったある武漢出身者が見た中国と世界

人民網日本語版 2020年04月30日14:08

76日間は人の一生においてはわずかな期間だ。しかし、2020年年明けからの76日間は、武漢市民の誰にとっても長く、そして心に刻み付けられた忘れられない日々となった。都市封鎖から解除まで2ヶ月半の間に、武漢の人々は移り変わる世の中のさまざまな有様を見尽くし、国を挙げての支援と全国民によるウイルスとの闘いという人の世の大いなる愛をその目で見ることとなった。北京に留まった武漢出身者である私は、新型コロナウイルス感染状況というプリズムを通して、これまでとは異なる武漢、中国、そして世界を見つめた。(文/孫悦怡・国際問題評論員)

「世界が私に苦痛というキスをするなら、私はそれに歌で報いよう」。これは、毅然としてウイルスと闘った武漢の人々についてのリアルな描写だろう。1月23日、両親は電話で、「お前は北京で気を付けて過ごしなさい。私たちは武漢で元気にやっているから。どこにも出かけず、国に面倒をかけるようなことはしない」と言った。私は突然、その言葉は私の両親のみならず、武漢市民900万人がこの非常事態の正念場において抱いた秩序ある自覚であるのだと気づいた。その時、武漢は私にとって、温かな故郷から、意気上がる不屈の楚の国の大地へと昇華された。「都市封鎖」の76日間に、武漢では苦しみや焦り、助け合い、温かさ、感謝など、人類が経験するであろう全ての感情があふれる人間ドラマが繰り広げられた。

都市封鎖が行われていた76日間、武漢は世界に前向きなおおらかさ、不撓不屈の精神、決してあきらめない英雄的な気概と華夏の精神を示した。「サイエンス」誌の研究によると、武漢の外出禁止令は他都市で感染が拡大する時期を平均2.91日遅らせ、中国全土の新型コロナウイルス感染者総数を96%減らした。武漢と武漢市民は実際の行動で、世界各国のウイルスとの闘いに中国のプランと経験を提供した。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局は、「武漢は世界に希望をもたらした」と評価した。

武漢の「都市封鎖」が人権侵害だと非難する人もいる。政府の要求はあったものの、私の周囲の家族や友人、同僚はすべて、武漢であれ北京であれ、本来であれば親戚回りや友人宅の訪問が欠かせない春節(旧正月、今年は1月25日)だというのに、外出や人の家を訪ねることを自ら進んで控えた。この特殊な期間にあっては、生命の安全と身体の健康こそが最大の人権だ。感染を蔓延させた場合、人々の生命権と健康権が深刻な脅威にさらされることは必至で、人権の保障など問題外になる。「都市封鎖」や「外出禁止」などの臨時措置を講じただけでなく、中国全土の医療従事者が湖北省に集結し、中国全土の防疫物資が湖北省へと運ばれ、中国全土の生活用品が湖北省へ調達された。こうした措置は、武漢市や湖北省、中国の人々だけでなく、中国に在留する外国人までも安心させた。中国は全力で一人ひとりの命を救い、湖北省ではすでに80歳以上の新型コロナウイルス肺炎患者3600人以上が治癒している。中国は全力で海外にいる同胞一人ひとりを助け、在外公館はすでに留学生に50万個以上の「健康セット」を配布した。こうした行動がこの特殊な時期における最も貴重な人権保護であることは疑いようがない。ブラジル・リオデジャネイロ州立大学のある経済学教授は、「中国の感染症予防・抑制措置は人々の人権に対する理解を広げた」と述べている。

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