西安碑林博物館昭陵六駿石刻の前で、「オンライン国宝」コンサートに向けた西安交響楽団の「弦上モネ四重奏」によるリハーサルが行われた。(撮影・新華社記者李一博)
正規版化が近年、中国のオンライン音楽市場の急成長の主な原動力になっている。海賊版が効果的に抑制され、オンライン音楽が正規版時代に入っている。長年にわたる統合を経て、中国のオンライン音楽は現在、テンセント音楽、網易雲音楽、蝦米音楽を中心とする業界構造を形成している。デジタル音楽市場がますます成熟していくのに伴い、課金の増加は音楽産業が急成長する重要な推進力になっている。中商産業研究院は、中国の今年のデジタル音楽市場規模は700億元(1元は約15.3円)以上にのぼると予測した。
◆デジタル音楽の新生態を模索
ユーザー数の飽和化に伴い、コンテンツ拡大、ユーザーの掘り起こし、プラットフォームのビジネス価値の向上が、オンライン音楽プラットフォームの発展の重心になっている。
感染症の影響を受け、オンライン公演という革新的な措置が生まれることで、さらに多くの人がオンライン音楽の宣伝価値、収益の可能性に気づいている。感染対策期間中、オフラインコンサートとオンラインライブ配信体験を組み合わせたTME liveは、有名ミュージシャンのオンラインコンサートを数回催し、ユーザーから高評価を受けると同時に、曲の再生回数の増加を効果的にけん引した。網易雲音楽は「クラウド村寝室音楽フェス」や「硬地LIVE」などを打ち出した。中国男性アイドルグループ「TFBOYS」の「日光旅行」7周年フルオンラインコンサートも今月22日夜、網易雲音楽で開催される。専門家は、ミュージシャンのライブ配信はコロナ後も長期的なコンテンツとなり、オフライン公演産業の効果的な補充になりうるとの見方を示した。
音楽のライブ配信の模索のほか、ソーシャルスペースでの展開も音楽プラットフォームの重要な拡張戦略だ。網易雲音楽の忠実なファンにとって、感情を揺さぶるコミュニティ文化は同プラットフォームの明らかな特色だ。リリース当初より、網易雲音楽はUGC(ユーザー生成コンテンツ)の力に焦点を絞り、音楽の発見と共有をめぐり音楽コミュニティを構築してきた。独自の「歌単モデル」は独創的で、コメント欄の中の多様なUGCコンテンツが独特なコミュニティの雰囲気を醸成する。網易雲音楽は昨年、「クラウド村」と呼ばれるソーシャル機能をリリースした。コミュニティの優位性をさらに取り込むことで、若いユーザーに交流、議論、感情表現の場を提供している。
しかし「網抑雲」と呼ばれる現象が最近、ネットユーザーのホットな話題になっている。これはわざとらしく言葉を発し、ひねくれた発言を行い、コンテンツを捏造するといった「マイナスエネルギー」が音楽のコメント欄にあふれることを指す。これを受け網易雲音楽は直ちに「クラウド村コメント治癒プラン」を打ち出し、心理カウンセラーと心理学を専攻する1万人のボランティアを「クラウド村治癒所」に招き、1万人の音楽評論達人による「クラウド村音楽評論団」を結成し音楽評論コンテストを開いた。同時に「クラウド村公約」を修正し、虚偽のコンテンツの捏造を取り締まった。専門家は「オンライン音楽プラットフォームの独自性は不可欠だが、優良コンテンツを基礎とするのが重要だ。コンテンツに中身がなく管理を行わなければ、市場及びユーザーから認められず、さらには自社のブランドに悪影響を生む」と指摘した。
◆ショート動画配信の高速列車に便乗
あるミュージシャンは「今はオリジナルの音楽が作りにくくなった。自分の歌が抖音(TikTok)や快手で歌われヒットしても、誰も私が作ったものとは知らない」と不満を漏らした。各音楽プラットフォームは今年に入り、抖音や快手と著作権やPR・発表などをめぐり協力関係を結んだ。共同で「音楽+ショート動画」のコンテンツ生態を構築し、優秀ミュージシャンの知名度向上をサポートする。ショート動画配信と音楽プラットフォームの協力は、オリジナルのミュージシャンの利益をある程度守り、ショート動画における音楽の著作権をめぐる紛争を解消できる。
専門家は「ショート動画は従来のルートと比べ音楽のPR・発表の効率が高い。ショート動画にはテンポが速く、分裂型発信という特徴があり、音楽はそのけん引と引き立てのより大きな効果を受ける。ショート動画プラットフォームを活用することで、現在の音楽業界に大きな推進力をもたらし、ミュージシャンの新たな市場の可能性を切り拓くことができる」と指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年8月17日