嫦娥4号、着陸エリアの度重なる小天体衝突の歴史を明らかに

人民網日本語版 2020年09月10日14:45

中国の科学研究者は月面ローバー「玉兎2号」のレーダー探査データの研究を深め、「嫦娥4号」着陸エリアの土壌や浅層の詳細な構造に関する重要な発見と認識を取得した。このエリアでかつて複数回にわたり小天体の衝突により飛散物が蓄積し、火山が噴火したことが分かった。月で最古で最大のクレーター盆地の変化の歴史を明らかにした。新華社が伝えた。

嫦娥4号は2019年1月3日、人類史上初めて月の裏側に軟着陸した探査機になった。その着陸エリアは南極エイトケン盆地にあるフォン・カルマン・クレーター。

玉兎2号はレーダーを含む多くの科学探査装置を搭載しており、月面の物質成分や浅層構造のその場での探査が可能だ。科学者は探査データに基づきエイトケン盆地の衝突の歴史を復元し、それを踏まえた上で月の深部物質の成分を明らかにする。

中国科学院地質・地球物理研究所、空天情報革新研究院、澳門科技大学などの科学研究機関の研究チームは、月の1−3日目の日中のレーダー探査データの研究を行った。

その結果によると、玉兎2号が探査した月表面の物質はフォン・カルマン・クレーターに充填された玄武岩ではなく、付近のフィンセンクレーターのものであることが分かった。また同レーダーの断面は、着陸エリアで複数回にわたる小天体の衝突により飛散物が蓄積し、玄武岩マグマが噴出し充填されたことを明らかにした。

専門家によると、小天体の衝突は地球の早期変化の重要な駆動力だが、長期的な地質構造活動はその大半の痕跡を消してしまった。月は質量が小さく、早くから内部活動を停止していたため、月表面のクレーターとその飛散物の堆積の断面は、地球・月空間の小天体衝突の歴史を比較的完全に留めている。また強い衝撃力は、原始的な月の地殻物質を大きく変えた。月表面の物質はさまざまな衝突による飛散物が混じったものであることが多く、数百キロ、さらには千キロほど離れたエリアからのものもあるほどだ。

中国科学院地質・地球物理研究所の林楊挺研究員によると、月の浅層構造は大型衝突事件とマグマ噴出の回数や規模、及びその間の時空関係を記録している。月の浅層構造はこれほど重要であるにもかかわらず、人類の月の浅層の詳細な構造に対する認識は今のところ非常に限られている。

林氏は「小天体の衝突による月表面の物質の変化は、月の周回探査と着陸巡回探査の結果とともに、今後の月サンプル採取・帰還任務の実施方法に直接影響を及ぼしている」と述べた。

この成果は「ネイチャー・アストロノミー」の最新号に掲載された。(編集YF)

「人民網日本語版」2020年9月10日

最新ニュース

注目フォトニュース

コメント

| おすすめ写真

ランキング