1人で暮らし、1人で食べ、1人で旅行に出かける…。現在、このような単身者層が増加中だ。中国の単身者はすでに2億人を超え、巨大な消費の新勢力となり、新しい消費感や新しい消費業態を生み出している。中国中央テレビ局(CCTV)のビジネスチャンネルが伝えた。
一線都市の単身若者 40%が「月光族」
家庭の経済的負担がないため、単身者の多くは貯蓄意識が非単身者よりさらに低い。データによれば、一線都市では単身者の若者のうち約40%が「月光族」(毎月の給料をその月にすべて使い果たす人)の状態で暮らしており、都市の等級が2線、3線へと下がり、月収も低下するにつれて、「月光族」の割合が大幅に増えていき、4線・5線都市の単身若者では76%にも達する。「給料は一体どこに行ってしまったんだ!?」というのが、単身若者が常々感じている疑問だ。
単身者は配偶者や家族に付き合わなくてもよいので、時間もお金もより多く自分のために使いたいと考えている。陝西省西安市の「90後」(1990年代生まれ)の女性の莫莫さんは映画が大好きで、ここ数年の間に、西安の大小さまざまな映画館はをすべて制覇し、コレクションした映画のチケットは400枚を超えたという。
単身層は外見の良さを追求するだけでなく、豊かな内面も重視する。「思い立ったが吉日式の旅行」、1人で見る映画、1人で食べる大好きなごちそうなど、単身者は自分が楽しければ出費を惜しまない。米ニールセン社の発表したデータを見ると、単身の消費者の42%が「自分を楽しませるために消費する」と答え、非単身消費者はこの割合が27%にとどまった。
中国社会科学院社会学研究所の朱迪研究員は、「単身消費者は自分の体験と感じ方を重視し、ブランドを無計画に追求することはせず、コストパフォーマンスが高く、自分の個性に合った商品を購入する傾向がある」と述べた。
単身者たちは心のよりどころを求めるためにより多くお金を使いたいと考えている。少し前に、浙江省杭州市の「00後」(2000年代生まれ)の単身女性が、飼い猫のお見合いをし、高級ペット用品を1万元(1元は約16.7円)ほどで購入し、猫のために「婚礼支度」をしたことが話題になった。女性は、「うちの猫のために用意した『婚礼支度』は猫用トイレ、ペット用スマート給水器、ドライヤー、それからおやつをいろいろ準備して、1万元近くかかった」と話した。
データによると、中国の「80後」(1980年代生まれ)と「90後」はペットを飼っている人が70%を超え、単身者が多くを占める。ペットを飼うことには社交的な一面もあり、一部の人はSNSプラットフォームを通じて、ペットの可愛い写真やショート動画を公開するなどし、「■(手へんに魯)狗」(犬をかわいがる)、「猫奴」(猫の奴隷)、「鏟屎官」(ペットのトイレ掃除係)といった言葉がネットの流行語になった。
民政部(省)のデータでは、2018年に中国の単身若者人口は2億4千万人に達し、このうち7700万人以上が一人暮らしで、21年には1億人に迫ることが予想されるという。
「おひとり様レストラン」が機運に乗じて登場
「おひとり様経済」の上昇傾向が続くのに伴って、ますます多くの業界がこのレースに参加するようになった。単身層によりぴったりの、個性に合わせた消費シーンを提供するにはどうすればよいかが、業者の新たな課題になった。
単身人口の増加に伴い、「おひとり様レストラン」が誕生して発展を遂げた。多くのレストランが次々に1人用の席を設け、席と席の間を仕切り、周囲と関わらずに食事ができる環境を用意して、消費者を呼び込もうとしている。
食品や外食業界だけでなく、家電業界にも「ミニ」の風が吹いている。容量が小さく、「顔面偏差値」が高く、多機能の小型家電が、単身層の「お気に入り」になった。プロの個人メディア運営者の林益傑さん(24)が北京で一人暮らしする家には、あちらこちらに掃除ロボットなどの小型家電の姿が見える。
「おひとり様経済」の発展は単身者用マンションの人気にも火を付けた。上海市に住む孫鵬さんは、ガールフレンドと別れると、市の中心部にある広さ10平方メートルのマンションに引っ越した。とても小さいが必要なものは何でもそろっているという。孫さんの住むコミュニティの単身者用マンションは一番広いところでも25平方メートルしかないが、入居率は全体で95%に達する。
現在、単身者の消費感が、フィットネス、旅行、化粧品、ペットなどの業界の好景気と好調な発展を後押ししている。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年4月20日