2021年2月13日、広州市南沙区にある広州港の第3期ふ頭で、コンテナの積み卸し作業が秩序よく進められていた。(撮影・魏勁松。写真提供は人民図片)
第14次五カ年計画期間は、中国が小康社会(ややゆとりのある社会)を全面的に完成させ、1番目の百年奮闘目標を実現させた後、勢いに乗じて上昇し、社会主義現代化国家の全面的建設という新たな道のりをスタートし、2番目の百年奮闘目標に向かって進む最初の5年間だ。
3月13日、「中華人民共和国国民経済・社会発展の第14次五カ年計画及び2035年までの長期目標綱要」が正式に発表された。19篇、65章、192節からなる「綱要」は、中国の質の高い発展を踏み込んで実施するための壮大な青写真を描き出した。
今回の5カ年計画では、国内総生産(GDP)成長率の具体的数値が初めて設定されなかった。GDPは一国の経済発展水準をはかる核心的指標であり、これまでは五カ年計画で最も総合的かつ最も注目を集める指標だった。「綱要」はGDPを引き続き主要指標としたと同時に、数値については年平均成長率が「合理的な範囲を保つようにし、各年度の状況をみて打ち出す」とした。このような表現は五カ年計画の歴史の中でも初めてのことだ。
中国はすでに質の高い発展段階に移行し、単にGDPをもって功績を評価してはならず、経済成長のために質や効率、生態環境へ与える影響を軽視することもなおさらできない。しかしもう一方で、現代化を実現するには合理的な成長もやはり必要になる。「綱要」の処理方法はこの両方の必要性に効果的に配慮したものになっている。
経済成長の目標は定性的な表現が中心となり、定量的な表現が暗に含まれているが、決してGDP成長率が不要だというわけではない。中国共産党第19回全国代表大会中央委員会第5回全体会議で打ち出された2035年までに1人あたり平均GDPが中等先進国のレベルに到達するようにするとの目標は、今後15年間、中国のGDP成長率が合理的な範囲を保たなければならないことを含意している。
第14次五カ年計画期間に、GDP成長率が一定のペースを保つことに中国は自信を持っている。具体的な量的な成長率目標を設定しないことは、各種のリスクや挑戦により積極的に、主体的に、ゆとりをもって対応する上でプラスになり、発展の柔軟性を高め、不確実性への対応のための余地を残し、また各業務の重点を発展の質と効率の向上に置くよう各方面を誘導する上でプラスになる。
民生福祉類の指標が占める割合がこれまでの五カ年計画の中で最も高く、ここには国民を中心とする発展の理念が十分に体現されている。
「2035年までの長期目標」の達成に向けて、「綱要」は経済発展、イノベーションによる駆動、民生福祉、グリーン生態、安全保障の5分類20項目の主要指標を設置した。このうち、民生福祉類の指標は7項目で3分の1以上を占め、これまでの五カ年計画で最も割合が高かった。
中国人民大学の劉元春副学長は、「その他の主要指標が全体として『スリム化』したのに対して、民生に関わる指標が低下せずに上昇したことは、民生への期待に対する回答であり、質の高い発展を実現するためにたどるべき筋道だ」と述べた。
教育について見ると、中国は引き続き教育の基礎が脆弱な県、人口の流入するエリア、農村地区の学校経営条件を改善し、小中高校4千校以上を新たに建築するか拡張する。幼稚園を2万ヶ所新たに建築するか拡張し、就学前教育の粗入園率を90%以上にする。中部・西部地域の四年制大学の建設を支援し、高等教育の粗入学率を60%に引き上げる。
医療について見ると、第14次五カ年計画期間には、引き続き公立の医療機関を中心にした医療サービス体系を整備し、人口1千人あたりの執業(助理)医師数を3.2人に引き上げる。居住地以外で医療サービスを受けたり医療費を支払ったりできるようにし、医薬品や消耗品の集中的で必要量を満たした調達・使用改革を積極的に推進し、人々が医療サービスを受ける際の負担を軽減する。
社会保障について見ると、中国ではすでに世界最大規模の社会保障システムが構築されており、第14次五カ年計画期間には多層的な社会保障システムをさらに整えて、基本養老保険(年金制度)の全国統一的計画を実現し、社会保険の法律で定められた対象の全面的カバーを実現し、「保険を必要とする人が保険を利用できる」ようにする。
「綱要」の中で、イノベーションが駆動する発展の堅持が具体的任務の筆頭に置かれた。基礎研究経費が研究開発(R&D)経費に占める割合を8%以上に引き上げることは、5カ年計画で初めて設定された指標だ。
国家発展改革委員会の胡祖才副主任は、「第14次五カ年計画綱要が初めて『基礎研究経費が研究開発経費に占める割合』という指標を設定し、特にページを割いたことは、基礎研究がより重要な位置に置かれたことを示す。2020年には、中国の基礎研究経費が研究開発経費に占める割合は6.16%で、先進国と比べるとなお大きな開きがある。2025年の基礎研究経費は2800億元(約4兆6762億円、2020年の不変価格)前後に達する見込みで、これは非常にはっきりと方向性を示すものであり、中国が基礎研究をより重視するようになったことを表している」と述べた。
第14月五カ年計画期間に、中国は国家実験室がリードする戦略的科学技術力の構築を加速する予定だ。量子情報、光子とマイクロナノ電子、ネットワーク通信、人工智能(AI)、バイオ医薬、現代型エネルギーシステムなどの重要なイノベーション分野に焦点を当てて一連の国家実験室を立ち上げる。AI、量子情報、集積回路(IC)、ライフ・ヘルスケア、脳科学、バイオテクノロジーによる育種、宇宙航空科学技術、深地・深海などの先端分野に照準を合わせ、一連の将来性と戦略性のある国家重要科学技術プロジェクトを実施する。
新旧の原動力の転換を実現し、ハイテク業界、戦略的新興産業を勢いよく発展させることが、中国の経済成長の重要な動力源になる。(編集KS)