北京航空航天大学で24日、厚さ原子5個分のナノ磁性薄膜に「100年」と記す集積回路学院の科学研究者。撮影・鞠煥宗
「100年、中国『芯』」。中国共産党創立100周年を祝賀し、北京航空航天大学の科学研究者は原子5個分の厚さのナノ磁性薄膜に上述の文字を記した。この厚さは一般的なプリント用紙の10万分の1に相当する。新華社が伝えた。
磁気チップを生産する過程で、ナノ磁性薄膜を均等にウェハー(シリコン半導体集積回路を作るための基板)に敷く必要がある。すべてのウェハーを完全に平らにするのはどれほど難しいのだろうか。北京航空航天大学集積回路学院工法・装備学部の教員である張学瑩氏は、「北京市海淀区(面積は431平方キロメートル)の地上に均等に米粒を5層敷き、そして完全に平らにしなければならないようなものだ。そのため薄膜の平坦性の検査が極めて重要だ」と述べた。
張氏によると、科学研究者は検査装置を使い、微小の磁性針を使い薄膜に文字を記す。文字の色のコントラスト比が一致し、筆跡がはっきりしていれば、薄膜の均等性が高いことが分かる。平坦性の検査完了後、ナノ薄膜を部品にし、パッケージングしチップにする。
北京航空航天大学で24日、厚さ原子5個分のナノ磁性薄膜に「中国芯」と記す集積回路学院の科学研究者(前)。撮影・鞠煥宗
同検査装置は、北京航空航天大学集積回路学院の科学研究チームが開発した、ウェハー級磁気光学カー効果検査装置だ。
同学院工法・装備学部の王新河学部長は、「磁気チップは信頼性の高い情報保存モジュール、高感度の磁気信号センサーモジュールとして、航空機や衛星の制御システム、及び携帯電話の電子コンパス、自動車の自動運転などの分野に応用できる。その一方で、磁気チップの生産プロセスにおける磁性薄膜検査というキーテクノロジーは、中国の長期間にわたりネックとなる技術だった」と述べた。
「海外の同類装置と比べると、この装置は検査の精度と速度の面で技術革新を行っており、独自の革新とブレイクスルーを実現している」と王氏。
同装置は現在すでに科学研究分野で応用されており、そして今年10月に実用化される見通しだ。
北京航空航天大学で24日、磁性ペンを使い、ナノ薄膜の磁性を検査する集積回路学院の科学研究者。撮影・鞠煥宗
中国科学院の科学研究チームは1993年に10個の原子を使い「中国」の形にしていた。これは中国が独自に原子を操作できるようになったことを示している。今や「100年、中国『芯』」と記すために用いられたウェハー級磁気光学カー効果検査装置は、100億元(1元は約17.2円)の市場規模を持つ磁気チップ産業に設備のサポートを提供している。
「中国」から「100年、中国『芯』」への移り変わりを支える科学研究のブレイクスルーは、中国のハイテクにおける独自革新能力の持続的な向上、国の科学技術力の持続的な強化の縮図となった。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年7月2日