高齢者の介護問題は今、人々が注目する重点問題となっている。中国新聞社の国是論壇がテーマフォーラム「都市の真心の介護:介護の新トレンド」で発表した「中国都市介護サービスニーズ報告(2021)」によると、中高所得層の高齢者の割合が激増するのに伴って、将来の介護消費市場のポテシャルは非常に大きくなり、今後は一人当たりの介護消費額が100万元(約1800万円)を超えることが予想されるという。「中国青年報」が伝えた。
同報告は都市住民の世帯構造や健康状態、介護への理解と介護プラン、介護ニーズと介護施設の選択、介護保険への理解と消費の動機、「保険+介護」トレンドなど各方面に焦点を当て、7ヶ月にわたり調査を実施し、全国19省(自治区・直轄市)の30-85歳の都市部住民80万人を対象に、ビッグデータを用いてその介護サービスニーズの輪郭を描き出した。
若者は介護の質と計画性をより重視し、介護プランには自分の将来の介護と両親の介護が含まれていた。調査によると、介護問題への理解では、回答者の77%が「自分の介護問題について考えたことがある」と答え、90%以上が「両親の介護問題について考えたことがある」と答えた。うち30歳以上の人は「自分の介護についても両親の介護についても考える」のが一般的な現象であることがわかる。「自分の介護問題について実際の行動に移した」人は44.5%、「両親の介護問題について計画を立て実際の行動に移した」人は72.4%だった。
「80後(1980年代生まれ)」は家庭全体としての介護の方針決定をより重視する傾向がある。調査結果を見ると、「80後」の世帯構造は典型的な「421モデル」で、夫婦2人が子ども1人を育てると同時に、高齢者4人の面倒を見ており、かかる圧力が非常に大きいと言える。結婚して子どもが生まれると、往々にして親たちと自分の将来の介護問題を考えざるを得ない状況に追いやられる。
こうした動きと同時に、50歳以上の層に潜む介護消費の巨大なポテンシャルが徐々に姿を現している。調査によると、介護に対する考え方では、この世代の高齢者の介護に対する考え方はよりポジティブで、介護の選択肢も多様化している。高齢者は自分で自分の面倒を見るようになり、安定した年金があるだけでなく、60歳以上の層は相当な金融資産や住宅など不動産による収益を老後の資金とし、子どもに頼らなくてもより質の高い老後生活を追求することができるという。
注目されるのは、同報告が目下の介護サービスに存在する一部の問題点も指摘していることだ。問題点の上位3位には▽突然病気になってもすぐに治療が受けられない懸念があること▽介護者の専門性のレベルが低いこと、または優れた信頼できる介護者がなかなか見つからないこと▽よい介護施設にはなかなか入れないこと、が並んだ。
調査結果によると、都市部住民の介護への希望を踏まえると、将来の介護モデルは最適化の必要があると考えられる。在宅介護は基本であり、現在は主流だが、コミュニティ介護と施設介護のニーズの割合がこれから徐々に上昇するとみられる。こうした背景の中、「都市の真心の介護」モデルが市場で人気が出ており、これは都市の中核エリアに「近くに医療施設があり、子どもが近くにおり、普段の暮らしにより近い」質の高い介護コミュニティを配置し、介護ニーズのある硬直的需要層の高齢者及びこれから硬直的需要層になる高齢者にサービスを提供するというものだ。
同報告は中国高齢学・高齢医学学会高齢者の金融分会、清華大学シルバー経済・ヘルス&ウェルネス発展指数課題チーム、大家保険集団が共同で発表した。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年12月28日