今の若者たちに体の不調を訴える部位はどこかと質問した場合、「頸椎」という回答がきっとランク上位に食い込むに違いない。スマホやタブレットPCが、多くの人にとって手放せないアイテムとなっている今、「うつむき族」も増加の一途をたどっている。こうした電子機器を使う時間が長いことが原因で、目が悪くなったり、首が痛くなったりといった、体の不調を感じている人も多いだろう。
「頭部を支え、首にかかる負担を減らす」を謳い文句とした「うつむき防止グッズ」が最近、大ヒット商品となっている。かつて誰もが一度は目にしたことがある学生向けにデザインされた座る姿勢を矯正するグッズと異なり、「うつむき防止グッズ」は、首のコルセットのようで、机に挟む必要はなく、首に直接装着して使用する。
ネットショップでキーワードを検索してみたところ、数え切れないほどの商品がヒットした。その中には、中国ブランドもあれば、日本や韓国などからの輸入商品と謳っている商品もある。価格は100‐500元(1元は約 18.2円)までさまざまだ。
商品レビューには、「装着すると首をまっすぐに保てる。うつむこうとすると不快なので、うつむきを防止できる」、「うつむき防止効果は抜群。特に普段仕事でパソコンを使うことが多く、装着しておけば、首が前に傾いたり、頸椎症になったりするのを予防できる。装着していると、首がこることもない」など、購入者の多くが高く評価するコメントを寄せている。
では頭や首を支えてくれるこの「グッズ」は本当に頸椎を保護してくれるのだろうか?南京江北病院の副院長を務める、骨科センターの李涛センター長は、「『うつむき防止グッズ』は確かにうつむきを防止するうえで一定の役に立つ。しかし、治療効果は期待できない。つまり、それを装着して、姿勢が悪くならないように注意し、自分を保護するために使うのは問題ないが、治療のために使うのは適切ではない」と指摘する。
そして、「頸椎の問題が疾患にまで深刻化しているなら、すぐに正規の病院の専門の科を受診する必要がある。また、30分から1時間うつむいた状態が続いたときは、首をゆっくりと回すなどのストレッチをすると良い」とアドバイスする。取材では、首を動かしてゆっくりと「米の字」を書くストレッチが現在、人気であることが分かった。ただ、李センター長は、「頸椎のストレッチはゆっくりとすることが大切。速すぎたり、動かし方が不適切だったりすると、効果は望めない」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年1月6日