上海人民広場にあるカフェ「follow嘿」は、オープンしてから現在までの4年間、直線距離にして20メートルもない場所にある世界最大のコーヒーチェーン店・スターバックスの影響を全く受けることなく、人気を保ち続けている。メニューを開くと、「芙蓉」と名付けられたオリジナルの煮出しコーヒーやヨーグルトコーヒー、弄堂ミルクコーヒーなど、中国ならではのムードがプンプン漂う100種類以上のコーヒーが名前を連ねている。上海では現在、コーヒーが庶民の生活に急速に溶け込んでいるほか、上海の海派文化や中国文化などとも深く融合し、新たなスタイルを打ち立てている。上海市食品業界協会・コーヒー専門委員会がこのほど、口コミ投稿サイト・大衆点評と共同で発表した「上海2021スペシャルティコーヒー消費観察」報告によると、上海の本格カフェの数は3244軒と、中国の都市で最も多く、ここ3年の累計増加幅は124%に達している。さらに、中国式煮出しコーヒーやキンモクセイラテ、茅台コーヒーといった中国らしさあふれる「中国式コーヒー」が、街の至る所で見かける本格カフェで大人気となっている。単に外国文化を取り入れるのではなく、それを地元の文化と融合させたり、イノベーションしたりするというもの、上海という国際大都市特有の生活感や人文の魅力を反映している。文匯報が報じた。
発展の黄金期に入った上海のスペシャルティコーヒー
2018年以来、上海では本格カフェのオープンブームとなっており、ここ3年の増加幅は124%に達している。今年だけ見ても、新規オープンした本格カフェは前年比41.5%増の951軒で、カフェ全体に占める割合も2019年の25.2%から41.5%にまで上昇した。
報告によると、上海の本格カフェは主に市の中心部に集中している。商業圏を見ると、淮海路・陝西南路商業圏は、スペシャルティコーヒーが最も集まっているエリアで、その他にも南京西路商業圏や虹橋古北商業圏、徐家匯商業圏なども多いエリアとなっている。通りだけに限って見てみると、本格カフェが最も多いのは瑞金二路で、道沿いに83軒あり、平均すると20メートルおきに1軒ある計算になる。
上海交通大学中国都市ガバナンス研究院の徐剣副院長は、「上海のカフェは、追走から並走し、そして、少しずつ先頭を走るようになっている。その過程は、経済の質の高い発展や市民の質の高い生活を映し出す鏡のようだ」との見方を示す。
中国式コーヒーが新たなトレンドに
上海の本格カフェは数が増加の一途をたどるだけでなく、独特な中国テイストのコーヒーも作り出している。例えば、キンモクセイや柑橘類の皮を乾燥させた「陳皮」、米から作った発酵食品で天然の甘味料としても使われている「酒醸」といった中国の伝統的な飲食の要素をコーヒーに取り入れ、上海のスペシャルティコーヒー消費市場で「国潮旋風」を巻き起こしている。