カイコは重要な経済的昆虫で、中国では5000年を超える飼育の歴史があるが、その家畜化の起源地は長期的に定まらなかった。西南大学の研究チームはこのほど、カイコの大規模遺伝資源ゲノム解析を行い、初のカイコスーパーパンゲノムマップを作成した上、カイコの起源が黄河中・下流地域であることを証明した。関連する研究成果はすでに国際的な学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」にオンライン掲載された。新華社が伝えた。
豊富な外面的な多様性を呈するカイコの一生の各段階。(画像提供は取材先)
西南大学カイコゲノム生物学国家重点実験室の代方銀室長は、「カイコの起源は中国の野生のカイコであるという観点が学界の共通認識になっているが、中国の具体的な起源場所については論争があり、特に有力な生物学的証拠がなかった」と説明した。
そのため代氏は科学研究チームを率い4年かけて、1078件のカイコ遺伝資源に関するディープシーケンシングを行った。これらのカイコ遺伝資源は世界のシルクロード各主要カイコエリアを網羅し、全世界のカイコの代表的な遺伝資源の9割以上をカバーした。そのうち代表的な資源に対して、単一分子リアルタイムDNAシーケンシングにより、研究チームは多くのカイコ遺伝子変異情報を取得し、初のカイコスーパーパンゲノムマップを作成した。
カイコスーパーパンゲノムマップ。(画像提供は西南大学)
代氏は、「パンゲノムマップの研究によると、黄河中・下流地域の地方種は系統樹におけるカイコの枝の基部に分布しており、カイコの最も古い起源が黄河中・下流地域であるという説に直接的な生物学的証拠を提供している。この結論は、これまで山西省夏県で出土したカイコなどの考古学的証拠とも相互に裏付けることができる」と述べた。
中国工程院の向仲懐院士は、「同研究はカイコの起源地を証明したほか、カイコの育種のボトルネック解消、遺伝資源のイノベーションの推進などの面においても重要な意義を持つ」との見方を示した。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年10月11日