戸外で活動する哈爾浜極地館のペンギン(撮影・曹霽陽)。
中国の科学者が率いる中国内外合同研究チームは、ペンギンの起源と進化のプロセスを再建することで、環境変化、気候、地質事件の種の形成への影響を解明するとともに、ペンギンが海洋生態環境に2回適応できた理由を説明する一連の鍵となる性状の分子的基礎を発見した。これに関連する研究成果は19日夜、権威ある学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。光明日報が伝えた。
論文の共同筆頭著者で、深セン華大生命科学研究院の周程冉博士によると、ペンギンは海洋環境及び南極などの過酷な環境に高度に適応する特徴を持ち、およそ6000万年前に飛行能力を失った代わりに、鳥類の中で最も優れた潜水能力を獲得した。
研究者はほぼすべての既知のペンギン74種(絶滅種を含む)のデータを収集・構築し、ゲノム学と古生物学などの手段を融合させることにより、絶滅種と現存する種を総合的に比較・分析し、すべての近代ペンギン種の高品質ゲノムを世界初公開した。中には亜種、地域的な支系、最近の絶滅種などが含まれる。
従来の観点では、熱帯・温帯生物は極地生物よりも進化のペースが速いとされていたが、研究者はコウテイペンギンなどの高緯度ペンギンの進化ペースが低緯度ペンギンよりも速いことを発見した。
さらに研究者は、ペンギンの特殊環境に適応する体温調節、視覚変化、酸素結合など重要遺伝子が選択を受けることを発見した上、ヘモグロビンとミオグロビンの変異点によりペンギンが血中酸素を利用し潜水時間を延ばせることを発見した。光感受性遺伝子の変化により、ペンギンは紫外線などの短波長光を見ることができるようになり、鋭い水中の視覚を持つようになった。
論文の著者で、中国科学院動物研究所の張徳興研究員は、「大陸の地殻運動と大気中の二酸化炭素の濃度の変化に伴い、ペンギンは過去6000万年余りの長期間にわたり、特に温暖な亜熱帯から極寒の地へという大きな環境の変化を経験した。しかし毎回の環境の激変後も、ペンギンの支系が生き残るとともに繁栄した。これはペンギンに極めて高い進化適応能力があることを物語り、これらの神秘的な動物の未来を楽観できることを示している」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年7月22日