北京時間11月29日深夜、中国が申請した「中国の伝統的製茶技術とその関連習俗」が、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の審議を経て、「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に登録された。つまり、中国の人々の生活に密接に関係する「茶文化」が無形文化遺産となったのだ。中国新聞網が報じた。
ここではそんな「中国茶」に関する知識をおさらいしてみよう。
茶の起源
茶は中国に起源を発する。茶に関する記載がある最も古い歴史文献は、中国最古の薬物学書「神農本草経」で、中国の人々が茶を飲む歴史は、秦(紀元前905-紀元前206年)の時代にまで遡ることができる。顧炎武は「日知録」の中で、秦国が蜀国を滅ぼした後、茶を飲むことが広まっていったと記載している。
中国では古くから、一般の家庭でも生活に不可欠な物として、「たきぎ、米、油、塩、醤油、酢、茶」の7つを挙げているように、「茶」は中国の人々にとって常に「生活必需品」だった。中国人の祖先は、「生の茶葉を薬として食べる」、「調理した茶葉を食品として食べる」、「煮出した茶を飲む」、「お湯を注いで味わう」という4つの過程を経てきた。茶葉には700種類以上の成分が含まれており、とてもヘルシーだ。
茶の効能
飲むとおいしいだけでなく、茶には、脂肪分解、消化促進、中枢神経興奮、眠気防止、利尿、解毒、疲労回復といった薬用効果もある。
中国の古代の人々も茶の薬用効果を深く理解しており、「神農本草経」や「傷寒論」、「本草拾遺」などの記載によると、茶を飲むと、眠気を防止して目が覚め、元気が出るほか、楽しい気分になり、さらに、ダイエット効果、鋭い思想を保つ助けともなるとしている。
また1987年には日本人研究者の富田勲氏が、茶ポリフェノールにはがん細胞増殖を抑制する作用があると報告し、世界から注目を集めた。そして2002年には米国誌「タイム」が推薦する健康食品トップ10に、緑茶がランクインした。
茶の「バイブル」
唐の時代、陸羽によって書かれた中国、ひいては世界最古の茶に関する書籍である「茶経」は、茶葉生産の歴史、起源、現状、生産技術、茶の飲み方、茶道原理などを総合的に記しており、茶に関する網羅的な知識が紹介されている。茶文化を空前のレベルにまで引き上げて、中国の茶文化の形成を象徴しているため、「茶葉の百科事典」と呼ばれている。
茶へのこだわり
中国人は、茶を味わうことにこだわり、色、香り、味、さらに文化的奥深さ、茶道具、情緒などを重視する。
中国人は、製茶して、茶を入れ、それを味わうことで、穏やかで包容力ある気持ちを培い、奥ゆかしい品格を養い、精神的豊かさ、道徳的素養を高めてきた。茶を一緒に飲むというのは、交流、コミュニケーションの優れた方法で、茶でもてなし、目上の人を敬う茶関連の儀礼には、中国人の「謙」、「和」、「礼」、「敬」という人的・文化的精神が詰まっている。
茶にまつわるエピソード
中国には、「琴・棋・書・画・詩・酒・茶」という言葉もあり、茶にまつわるエピソードもたくさんある。
「三国志·呉志·韋曜伝」には、「呉国の国君・孫皓は酒が大好きで、宴を催すと、飲めるか飲めないかに関わらず、客は少なくとも七升の酒を飲む。朝臣・韋曜は博学多聞であるものの、あまり酒が飲めず、孫皓は彼を非常に重んじていたので、慣例を破って、彼が酒の代わりに茶を飲むことを認めた」と書かれている。これが「酒の代わりに茶」の最古の記載だ。
茶の生産量
2020年、世界の茶葉の生産量は626万9千トンで、中国だけを見ると298万6千トンと、世界最多だった。世界の茶葉の総面積は約510万ヘクタールで、中国だけを見ると約316万5千ヘクタールと、こちらも世界最大となっている。中国の茶葉は、世界の茶葉生産や消費に大きな影響を与え、生産量は世界全体の47.63%、消費量は世界全体の41.68%、輸出量は世界全体の19.14%を占めている。
中国の1085県の茶農家3000万人が、茶を栽培して豊かな生活を送っており、茶産業が民生を牽引する一大産業となっている。
茶の交流
古代、中国の茶葉はシルクロードを経て欧州に伝わり、その後、少しずつ世界中で人気となり、シルクや陶磁器などと共に、「平和、親睦、協力」の架け橋となってきた。
17世紀に始まった全長約1万4000キロの「万里茶道」は、中国の南部・福建省武夷山から、江西省や湖南省、湖北省、河南省、河北省、山西省、内蒙古(内モンゴル)自治区などを経由して、蒙古(モンゴル)高原を越えて、ロシアのサンクトペテルブルクを繋ぎ、古代シルクロードに続いて、ユーラシア大陸に出現したもう一つ重要な国際通商路となった。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年12月1日