遼寧省大連市にある旅順博物館に所蔵されている仕女俑の頭部には彩色が施されており、髪を高く結い上げ、ふくよかな顔に浮かんだおっとりとした表情からは風格すら感じられ、唐代の貴婦人の雰囲気を醸し出している。満月のようにふっくらとした顔の額には、「花鈿」と呼ばれる赤い文様が描かれ、目の横には斜めの赤いラインが引かれている。また、口元の両側にはえくぼのように黒い点が描かれている。ここから1千年前の唐代の女性がどんなメイクをしていたかをうかがい知ることができる。
唐代の女性のメイクは次のような7つのステップを経て完成させることになる。
① ファンデーションとなるおしろいを塗る。
② 両頬にチークを入れる。
③ 眉毛を描く。
④ 額の中央に花鈿を貼る。
⑤ 口元の両側にはえくぼのように黒い点を描く。
⑥ 両目の横に赤い斜めのラインを引く。
⑦ 口紅を塗る。
唐代の仕女俑の頭部(旅順博物館所蔵)
「花鈿」は眉間の上部に貼るワンポイントの文様で、金箔や雲母、魚のえら・骨などを花の形に切って作られていた。最も多く使用されていたデザインは梅の花だった。メイクをより艶やかにするため、口元の両側にはえくぼを描いた。また古代の女性は、アイシャドウは好まなかったものの、目の横のこめかみあたりに、斜めの赤い三日月のようなラインを入れていた。最後に口紅を塗れば、唐代メイクの完成となる。(編集KN)
中国の文化財は語る
博物館は人類文明を保護し、伝承する重要な場。博物館に所蔵されている文化財は埃をかぶった骨董品ではなく、いずれも民族の生きてきた証となる生きた伝承だ。「中国の文化財は語る」では毎回博物館に所蔵されている文化財の紹介を通じて、文化財に込められた中国の文化と精神について紹介していく。
「人民網日本語版」2023年7月14日