長い黒髪をひとつに束ね、胸元まであるゴム製の防水ズボンの胴長靴を履いてレンコン畑に入り、高圧水鉄砲の音が響くなか、李梓萌さん(23)は笑顔を浮かべながら長さ約50センチメートルほどに連なったレンコンを高く掲げてみせた。新華社が伝えた。
李さんは重慶市栄昌区河包鎮核桃村で生まれ育った。彼女は2019年、病気の父親の看病をするため、故郷に戻り起業して、面積20ヘクタールのレンコン畑を借り受け、栽培を始めた。今では1年中泥まみれでレンコンを育て、肌も真っ黒に日焼けしてしまっている。
核桃村の李相傑支部書記は、「これまで村民たちは農産物を売る場合、肩に荷を担いで鎮まで売りに行くくらいしか手段が無かった。しかも満足いく売値で売れるとは限らず、時には在庫として残ってしまうことすらあった」と語る。そこで、セルフメディア業に携わった経験があった李さんは電子商取引による農産物販売を思い立ち、あっという間に村民の販売ルートを立ち上げてみせた。
レンコンを掘り、ハスの実を収穫し、スモモを収穫するといった農村の暮らしぶりを撮影したショート動画は、瞬く間に人気となり、李さんもSNSプラットフォームの「人気者」になった。李さんは、自分のレンコン畑で収穫した農産物を販売するほか、村民のためにライブコマースも行っている。そして昨年だけでも昌州街道(エリア)八角井村の農家約200世帯が収穫したレンコン30トンを完売させるのに貢献した。「最も印象深かったのは、一回の配信で30万元(1元は約19.3円)を上回る売上があった時のこと」と李さんは振り返った。
李さんは、家族の面倒を見ることができるだけでなく、同時に故郷の人々を支援できることをとても幸せに思い、達成感を感じているという。19歳から立ち上げた自分のビジネスが23歳の現在、見事な業績を上げるだけでなく、李さんは「新しいタイプの農民」という姿で、農村振興に新たな活力を注いでいる。
李さんの農民支援のためのライブコマースは現在、重慶市栄昌区に留まらず、湖北省や福建省などにまで拡大し、急成長を遂げている。取り扱う商品も、レンコンだけでなく、白キクラゲや葛粉などより多くの農産品をカバーするようになった。「質の高い農作物がある場所なら、どこにでも行きたい。より価値のある地元特産品を視聴者に紹介し、より多くの村民が、もはや『売れるかどうか』と心配しなくても良い状態にしたい」と李さんは語った。(編集KM)
「人民網日本語版」2023年7月13日