他人への信頼感の上に成り立った日本人社会に見る「日本人の矛盾」 (2)
初めて日本を訪れた中国人の体験記 ■トイレのスリッパも共有する
日本のレストランのトイレでも同様の現象が見られた。レストランに入ると、靴を脱いで畳に上がるが、トイレに入るときは、トイレ専用のスリッパが用意されている。こちらでは女性用には大概可愛らしい布製のトイレ専用スリッパが用意されており、どの客もこのスリッパに履き替える。日本風の場所であれば、ホテルのトイレでもレストランのトイレでも、多くのトイレは非常に小さく、プラスチック製のユニットバスが装備されている。そこには、チリ一つなく、いい香りがする。日本の7日間の滞在で、ガソリンスタンドのトイレ以外、和式トイレを見たことがなかった。すべてが坐椅子タイプの洋式トイレだった。しかも、すべてのトイレには2種類の洗浄機能や坐椅子を温める機能、除臭機能がついていた。聞くところによると日本の科学者が研究した結果、しゃがんで用を足すトイレは寿命を縮めるため、国民は仕方なく、座椅子トイレを普及させたのだという。将来、すべての和式トイレはなくなるだろう。
■他人との相互信頼によって成り立つ社会
温泉などで共用する椅子や洗面器、トイレで共用するスリッパなどから、日本人のお互いに対する信頼感に心の底から驚いた。この信頼感は外国人の観光客に対するものも含まれる。ここには信頼することのリスクは存在していない。誰も他の人の病気や汚さを心配しておらず、伝染病にうつることを心配する人もいない。しかし、トイレや浴室にほのかな消毒水の臭いがすることに気付いた。恐らく、日本人が行う消毒作業が丁寧なため、みんな安心して使用しているのかもしれない。それは日本ではみんな安心して海鮮や生肉、生野菜を食べるのと同じようなものなのだろう。日本のスーパーで売っている果物や野菜は、中国とは異なり、すでに洗ってあるので、封をあければそのまま直接食べられる。