「うちの羊肉が高く売れるのは、みなこの『北斗羊』のおかげだ」。内蒙古(内モンゴル)自治区オルドス市オトク旗呼和陶勒盖嘎査村に住む牧民の哈斯巴図さんが笑って話した。彼の20頭の羊が先ごろ、市場価格を500グラムあたり10元(約160円)上回る価格で、上海の業者に買い取られた。飼育されているその他の羊もすでに予約が埋まっている。「北斗羊」とは何だろうか、割高でもこれほど人気があるのはなぜだろうか。人民日報が伝えた。
中国は昨年11月19日に42・43基目となる北斗測位衛星を同時に打ち上げた。これは北斗3号基本システムネットワークの構築終了を意味し、昨年末に開通し運営を開始した。これで北斗のカバー範囲は全世界に達した。現地政府は昨年、蒙元北斗畜牧科技有限公司と共に、呼和陶勒盖嘎査村の牧民30世帯に無料で草原スマート観測システムを設置し、羊に「測位の神器」と呼ばれる北斗衛星測位首輪をつけた。
蒙元北斗の哈斯宝魯会長は、「この首輪を取り付けると、北斗システムは無線ネットワークで位置を中継基地局に伝え、それから情報センターに送り、さらに牧民が携帯している北斗測位・通信端末に送る」と説明した。
牧民の那仁徳力格さんは「以前の放牧は徒歩、騎馬、バイクで、吹雪のなか草原を数十キロも移動していた。悪天候であったり羊が出産すれば、草原で羊を2−3日探さなければならなかった」と話した。那仁徳力格さんは現在、自宅でミルクティーを飲みながら携帯電話を操作するだけで、遠隔放牧を実現できる。携帯アプリ、パソコンソフト、ショートメールの通知により、羊の群れの位置をリアルタイムで把握し、過去数日さらにはそれ以前の行動の軌跡を調べることができる。さらには羊が「電子柵」を越えたという注意やシステム推奨の最適化された追跡ルートを受け取ることができる。
「北斗羊」の肉は市場でQRコードを与えられる。購入者が携帯電話でスキャンすれば、この羊の移動の軌跡が表示され、何を食べ、何を飲んでいたかが一目瞭然になる。食品安全と食品のトレーサビリティの問題が解消された。これほど健康的で自然な食品であれば、高い値がつかないわけがない。「北斗羊」の肉は現在、北京・上海・広州などの大都市でよく売れている。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年4月18日